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『こいも』 日々思うあれこれ

あれこれ日々思うこと、考えることを、書いています。

 

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「高齢者住宅があぶない」の出版にあたって 



高齢化率の上昇は、ほとんどの先進国で現れている現象ですが、日本の高齢化には、他国と比べてそのスピードが非常に速いということ、そして、急速な経済発展の過程で、高齢者を取り巻く環境が劇的に変化してきたという二つの特徴があります。
これから日本は、2015年~2025年にかけての10年で、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になるという超高齢社会の最も急激な坂道を上ることになります。東京、大阪、神奈川、埼玉、愛知といった大都市部を中心に、5年毎に200~300万人の後期高齢者が増加し、核家族化や少子化も相まって、その3分の2以上が独居、または夫婦のみの高齢者世帯となることもわかっています。
その中で、自宅で生活できない、高齢者、特に要介護高齢者の安定的な住まいをどのように確保していくのかは、喫緊の課題です。

「高齢者の住まい」を巡る様々な課題が表面化するにつれ、新聞やテレビなどでも、高齢者の住まいやその課題をテーマとした報道や番組を目にする機会が増えてきました。その内容や論点、視点はそれぞれに違いますが、前提としている組み立てはほとんど変わりません。

■ 「特別養護老人ホームは、13万円程度で安いけれど待機者多く入りにくい」
■ 「有料老人ホームの価格は、平均25万円で低所得者に入りにくい」
■ 「低価格のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が増えている」
■ 「特養ホームにも高齢者住宅にも入れない低所得者が無届施設を頼る」

これらの前提が、事実として間違っているというわけではありませんが、その捉え方は、あまりにも表面的、かつ近視眼的です。そのため、様々な課題が噴出しているにもかかわらず、「どうしてこんなことになってしまったのか?」という、中身の本質的な議論は、これまでまったく行われてきませんでした。

いくつか例を挙げて、もう少し深く掘り下げてみます。
「特養ホームは安いけれど、有料老人ホームは高い」という議論。
高齢者や家族を対象とした高齢者選びのセミナーでも、「有料老人ホームほど豪華でなくても良いので、低価格の特養ホームを…」という意見が数多く聞かれます。
しかし、実際はそうではありません。「13万円のユニット型個室特養ホーム」と「25万円の介護付有料老人ホーム」のどちらが豪華で、手厚いサービスが提供されているのかと言えば前者です。現在主流のユニット型個室特養ホームと同じ水準の介護付有料老人ホームをつくると、その価格設定は30万円をゆうに超えます。特養ホームが安いのは、高齢者住宅等で生活する高齢者と比較して、一人当たり年間180万円という莫大な社会保障費が投入されているからにすぎません。

もう一つは、有料老人ホームとサ高住の関係です。
この有料老人ホームとサ高住は、制度の違い、基準の違いは説明できますが、何故、二つの制度が必要になるのかは誰にも説明できません。一方は厚労省の制度、もう一方は国交省の制度というだけです。それぞれの省庁が、補助金争い、利権争いの中で、それぞれの制度をごり押ししてきたために、制度間の歪みが拡大し、無届施設の激増など、制度の基礎であるべき入居者保護施策は有名無実化しています。
また、「有料老人ホームは25万円、サ高住は10数万円程度」ということが当たり前のように報道されていますが、どちらも同じ高齢者住宅ですから、建物設備、介護看護サービス、食事サービスなど、要介護高齢者が生活するために必要となるサービスやそのコストは変わりません。篤志家が資産を投げ打ったり、大半のスタッフがボランティアでないかぎり、同じ民間の高齢者住宅事業で、有料老人ホームからサ高住へとの制度名称が変わるだけで、数万円~十数万円も安くなるはずがありません。

この「何故、サ高住は安いのか」という問いの答えは、無届施設の安さの理由と同じです。
現在、無届施設は把握されているだけでも1000ヶ所近くあり、その中で生活している要介護高齢者は、少なくとも数万人~十数万人になります。家賃や食費は低価格に抑えられていますが、その分、同一法人、関連法人で運営されている訪問介護や通所介護などの介護サービスを限度額一杯まで利用させるというシステムになっており、医療法人の場合は、これに医療保険(健康保険)が加わります。食費や家賃を抑えて、その分、介護サービスや検査、投薬などを関連法人で行って、そこで利益を確保するというビジネスモデルです。また、それらが適切に行われているのかも、誰もチェックしていません。つまり、自己負担は安いけれど、それがすべて社会保障費に転嫁されるシステムになっているのです。

これらの課題は、それぞれに深く関係しています。
一部識者と呼ばれる人の中にも、「無届施設の中にも優良なものがある」「民間の高齢者住宅に入れない低所得者のためにも一定は必要」と話す人がいます。
しかし、無届施設は、法律を無視して違法に経営されている高齢者住宅事業者です。その大半は、社会保障費を搾取する貧困ビジネスですし、情報も開示されず、行政のチェックも入りませんから、入居者に対する惨い虐待や身体拘束、更には、本人の預貯金を勝手に引き出すなどの経済虐待が横行しています。また、身体機能の低下した要介護高齢者を対象としているのですから、介護事故や感染症、火災、自然災害などへの最低限の備えは必要です。
高齢者住宅は、「行き場がないために高齢者・家族が弱い立場に立たされやすい」「スタッフや入居者が限定され、閉鎖的になりやすい」「認知症高齢者、要介護高齢者は自分で意見や苦情が言えない」という特性から、虐待や劣悪なサービス、更にはその隠蔽が起こりやすいとされています。
そのために、有料老人ホームやサ高住の制度によって、事前の届け出や登録が義務付けられており、最低限の安全を担保するための基準や指導監査の体制が法令化されているのです。「制度基準の弾力的な見直しを・・」という議論は必要ですが、これを認めるのは、「貧乏人だから、バリアフリーじゃなくてもいいじゃないか」「災害対策が不十分でも仕方ない」というのは、「マンションの鉄筋が少なくても、安いからいいじゃないか」という発想と同じです。

「特養ホームが絶対的に不足しているから、無届施設が増える」という意見も間違っています。
現在、作られている特養ホームはユニット型個室が中心で、その価格設定は、13万円程度ですが、実際には15万円程度は必要です。これに健康保険料や介護保険料、医療費などを加えると、実際の生活費は、18万円程度にはなります。低所得者対策が不十分なため、莫大な社会保障費を投入し、セーフティネットとして整備された老人福祉施設であるにもかかわらず、十分な預貯金がない限り、年金など年収200万円以下の高齢者は極端に入所しにくいという、本末転倒の事態になっているのです。
現在、個室型の特養ホームは特養ホーム総数の内の7割、ユニット型個室は5割を超えています。実際、「東京では特養ホームが不足している」などと報道されていますが、足立区にできた特養ホームでは、開所時に入所定員を満たさなかったという事態も発生しています。現在の制度では、近くに特養ホームができても、無届施設を頼らざるを得ないようなお金のない貧困層の人達は申し込むことさえできないのです。

更に、この問題は、特養ホームを運営する社会福祉法人の迷走にもつながっています。
現在、社会福祉法人の一法人あたりの平均余剰金は3億円、全国で2兆円に上ると報道されています。中には、30億、40億円という莫大な利益を貯め込んでいる法人もあり、そこに、天下り公務員や一部の地方議員が群がるという構図が出来上がっています。
公共工事や防衛費というと、眉をつり上げる人達も、社会保障、社会福祉と言えば、その効率性や効果、不正が行われていないかといった最低限のチェックもなく、莫大な予算が立てられ、執行されています。
財源も人材も絶対的に不足しているときに、富裕層を対象とした社会福祉施設を、莫大な社会保障費を投入して作っている国など、どこにもありません。
表の顔では「社会保障費が足りない」「介護スタッフの給与が低い」「増税、負担増やむなし」と、社会保障を政治の道具としてきた人達が、その陰でどんな利権を得て、どんな不正なことをしているのかを見れば、この老人福祉を隠れ蓑にした深い闇が見えてくるでしょう。


今後、自宅で生活できない高齢者が激増します。
これから、急速に増加する要介護高齢者、認知症高齢者の対策は待ったなしの状況です。
超高齢社会に向けて、「一定の負担の増加は止む無し」と考えている国民は多いのですが、それは、社会保障制度が、公平で公正、かつ効率的、効果的であることが前提です。社会福祉法人をお財布のように使っている天下り公務員や一部の地方議員の福祉利権ために、また、行き場のない高齢者を喰い物にするような貧困ビジネスのために、負担増を認めているのではありません。
「高齢者住宅」「介護施設」など、テレビや新聞などで報道される一方的なイメージは、その多くが間違っており、議論も本質から遠く離れています。また、超高齢社会を支える、財源も人材も絶対的に不足しており、残された武器は、「智慧」しか残っていませんし、それが使える時間も、もう限られています。
高齢者介護の現場でいま何が起こっているのか、制度的な課題はどこにあるのか、その現実を直視し、今後、どうしていくべきなのか、そのあるべき方向性について、早急に見直さなければ、超高齢社会は高齢者だけでなく、働く世代にとって悲惨なものとなることは間違いありません。

高齢者の住まいのあり方、その見直しについて必要な6つの視点を提言します。


2015年8月27日
濱田 孝一



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『高齢者住宅があぶない ~介護の現場でいま何がおこっているのか~

序 章 いま、高齢者住宅で何が起こっているのか
第一章 超高齢社会の現実と高齢者住宅の役割
第二章 混乱する高齢者住宅制度、激増する無届施設
第三章 役割を失った特養ホーム・社会福祉法人
第四章 高齢者の住まいをどのように整備していくのか
(視点Ⅰ) 高齢者住宅に対する指導監査の見直し
(視点Ⅱ) 高齢者住宅に適用される介護報酬の見直し
(視点Ⅲ) 社会福祉法人の役割の見直し
(視点Ⅳ) 特養ホームの役割と対象者の見直し
(視点Ⅴ) ショート・ミドルステイの強化
(視点Ⅵ) 低所得者対策と自己負担
おわりに  介護の仕事には将来性がないと考える人へ

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高齢者住宅があぶない




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