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『こいも』 日々思うあれこれ

あれこれ日々思うこと、考えることを、書いています。

 

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徳島県 『和光園』 の死亡者預金引き出しについて 


読売新聞によると、
徳島県の特別養護老人ホーム『和光園』が、昨年8月から今年1月までに死亡したに入所者3人の預貯金を勝手に引き出し、3人を納骨した寺に永代供養費として、計850万円を支払っていたことがわかった。
その内、200万円は、寺から同園へ寄付として流れていた。同園では、これまでも通例として、同様に個人の預貯金を引き出しており、今回は情報提供があったために発覚した。
徳島県は、同園に対し、財産処分が不適切とし改善を勧告した・・とのこと。

記事 読売新聞 6/23 『徳島の特養 死亡者の預貯金引き出し供養費支払う』

単なる、指導や勧告で済ませられる問題なんだろうか。
死亡した人の財産を、第3者が勝手に処分しても良いと思っているのだろうか。
同園の事務長は取材に対して、『制度に関する知識不足があった』としているが、勧告で済むようなそんな軽い話ではなく、善意・悪意・犯意の有無は別にして完全に明確な窃盗、犯罪ですよ。


まず、なぜこのようなことが発生したのか、関係者別に疑問点・問題点を整理したい。

一つ目は、当該、特養ホーム。
この特養ホームの感覚は、福祉施設として異常だ。
本人が『身寄りがない』と言っても、普通の施設ならば、入所時に身元引受人や関係者を探す。
施設として、何かそうしたくない理由でもあったのか・・・

仮に、入所者本人が誰にも伝えてほしくない・・と言ったとしても、もうすぐ亡くなると分かった場合、『誰か会いたいひとはいないのか・・』を心配し、また亡くなった場合、本当に誰にも伝えなくてよいのか、伝えるべき人はいないのかを考えるのが人としてのふつうの感覚だろう。
そもそも、その人はどういう経緯で入所したのか。誰か申請者がいるだろうし、それまでのケアマネに確認すれば、その人の生活の背景を把握しているはずだ。法的相続人の有無は市町村に伝えて、その人の戸籍や原戸籍などをたどれば、すぐにわかることだ。それほど手間なことではない。『誰もいないと本人が言ったので、エエやろ・・』なんて、制度上の理解不足というよりも、当たり前の人の感覚して理解に苦しむ。

問題は、こと財産に関することだ。
わたしは、特養ホームに10年勤務しており、数百人の高齢者を見てきた。
当然、その施設の性格上、家族との縁が薄い人は多く、様々なケースがあるが、相続人も身寄りも全くなく、残ったお金を国庫に納めなければならなかったという事例は記憶にない。特殊な地域性というものがあるのかもしれないが、半年間に3人というのは、わたしの経験・感覚から見れば、明らかに異常だ。


2つ目は当該お寺の立場。
このお寺の感覚も理解に苦しむ。
故人の宗教とか宗派とか人生とか、このお寺は気にしないのだろうか。
身よりがないということと、先祖代々のお墓がないというのは別の話だ。
普段の親族の付き合いや相続人でなくても、少し調べればそれくらいのことはわかるだろう。

また、永代供養のお金はどのように考えていたのだろうか。
宗派によっても違うが、永代供養の費用は、10万円~100万円程度だと言われている。
本人の意思や意向も確認せず、3人で850万円ものお金をもらって良いと思っているのだろうか。
『特養ホームが貰っておけといったから・・・それでエエやん』と本当に思うのだろうか。
法的に問題ないかもしれないが、坊主もここまでくれば、ご立派というしかないか・・


3点目は、金融機関。
預貯金を管理している金融機関は、何をしているのだろうか。
実は私は元銀行員。預貯金をもっている死亡者が死亡した場合、預貯金の引き出しは完全にストップされる。原戸籍までさかのぼって、法的相続人を確定させ、その相続人全員の印鑑証明等がなければ、解約どころが、預貯金の引き出しさえできない。書類が整うまで葬祭費の引き出しもできず、面倒な思いをされた人も多いだろう。それほど厳格に行われている。

口座の残金が数万円未満であれば・・面倒なので、目をつぶって家族に渡す・・ということもあるだろうが、数百万円の口座の解約では、そのようなことはありえない。この特養ホームが慣例として行っていたということであれば、その金融機関は死亡の事実を知っているはずだ。そうでなければ『何故、全額引き出すのか、解約するのか・・』聞くはずだからだ。知らなかった・・では通じない。
金融庁からの指導が入れば、その金融機関はただでは済まないだろうし、仮に民事裁判を起こされれば、その金融機関も連帯で返還義務を負うことになるだろう。


そして、4点目が指導監査権限のある徳島県。
徳島県は、本当にこの法人に対して、これまで適切な監査・指導を行っていたのだろうか。
問題は、慣例として同様にことが行われてきたこと、そして、情報提供、つまり内部からの指摘がなければ、今回の問題が表面化しなかったということ。

わたしは、社会福祉法人・特養ホームのサービス管理、事務管理の仕事をしてきたので、これまで、何度も指導・監査を受けてきた。このような死亡された利用者の財産管理の問題は、指導監査の『いろはのい』といっても過言ではなく、気が付かないはずがない。

この入所者の財産管理は、とてもグレーで微妙な問題をはらんでいる。
認知症高齢者や要介護高齢者の場合、自分でお金の管理ができないために、年金受け取りや預貯金の管理や日々の生活費の支払い等の事務手続きを特養ホームの事務所で行っているケースが多い。介護保険制度移行は、家族が行うケースも増えてきたが、介護保険制度前は、措置費徴収(特養ホーム利用料)を簡素化するために、行政もそれを推奨していた。

しかし、そんなことをすれば、当然、特養ホームの事務員の中には、不届きな人がでてくることは誰にでも予想される。これまでも、特養ホームでの財産管理を巡って様々な不正が発生している。
そのため、通帳と印鑑を別の人が別々に保管し、家族や入所者に定期的に情報を開示し、施設長が定期的にチェックするなどの不正防止策が求められており、当然、指導監査でも、問題がないか厳しくチェックされる。

この資産管理・預金管理は、客観性、正確性、徹底した情報開示が求められるものであり、事務作業としては、非常に手間のかかるものだ。日々の小さな買い物でも、入所者が使ったものは、すべて領収書を徴収、添付することはもちろん、私のいた施設では、入所者・家族に常時開示するとともに、半年に一度は全家族(保証人)に、半年間の収支状況のコピーを送付していた。実際、大半の特養ホームはそのようにしているだろう。

そう考えると、正直、このようなことが慣例として長年行われてきたことが、信じられない。
もちろん、これは『次からちゃんとしてね・・・』という話ではない。
犯意・悪意の有無にかかわらず明確な窃盗行為であり、これまで同様のケースがなかったのかをすべて調べ、相続人が見つかったものに対しては説明し相続させ、それ以外のものは国庫に納付しなければならない。その上で、担当者や法人を告訴し、法的な問題がなかったのかを明確にする必要がある。そこまでできないのであれば、徳島県も犯罪行為を知っていたのに、あえて見逃していたと言われても仕方ないだろう。



それぞれ四人の関係者から、この問題を整理した。
当然、最も責任・罪が重いのは、この特養ホームであることはいうまでもない。
しかし、この問題が発生し、続いてきたということを考えると、徳島県の責任も非常に重い。

ただこれは、徳島県の問題だけではないだろう。
全国で特養ホームが激増している反面、指導監査体制やその能力は、著しく低下しているからだ。

この法人がどうかは知らないが、市町村や都道府県からの天下りの事務長がいるところもある。
中には、全施設長が指導監査を行う行政からの天下りで、理事長は民生部局の局長が持ち回りで務めているという天下り法人や、県会議員や市会議員が理事長や副理事長で、自分のお財布のように法人のお金を使っているという信じられないところもある。
いわゆる莫大な余剰金を巡っての『福祉利権』がその地方自治体にはびこっており、指導監査をする人とされる人が同じ穴のムジナであるために、適切な指導監査ができず、このような不正や介護虐待などが、激増しているのが実態だ。

更に、これは特養ホームだけの問題ではなく、高齢者住宅では更に悲惨だ。
特養ホームの指導監査の実務レベルが低下していることは事実だが、述べたように、これまでの積み重ねによって、どのポイントをチェックしなければならないのか、何が問題なのかは整理されている。

しかし、高齢者住宅産業は、有料老人ホームだ、高専賃だ、サ高住だ・・と制度が混乱する中で、指導監査体制そのものが根本から崩壊している。高専賃からサ高住と名称が変わり、指導監査ができるようになったが、誰が何を基準にどのように監査するのはは全く決まっていない。このような入居者や死亡者の財産管理の方法については、全く考えられていないというのが現実だ。

更に、この制度の混乱の中で、誰も管理しない無届施設が激増している。
その中では、何が行われているのか、どのようなサービスが行われているのか、入居者の最低限の人権が守られているのか、身体的虐待だけでなく、このような経済的虐待が行われていても誰にもわからないし、チェックする体制さえない。すべてだとは言わないが、脱法施設であることを考えれば、全体として、その順法意識、人権意識が低い施設が多くなることは間違いない。

介護施設や高齢者住宅は量的な増加だけでなく、質の高い事業者の育成が不可欠だ。
それは、事業者任せにするのではなく、強制力をもった第三者の適切な厳しいチェックがあって初めて成し遂げられるものだ。
業界団体は、指導監査体制の強化を喜ばないが、『自分たちはちゃっんとやっているから良い』というものではない。指導監査の劣化で、このようなトラブル、犯罪が激増すれば、業界全体への信頼を得ることはできない。誰でも、表面化するのは氷山の一角だと知っている。

報道されていることが事実だとすれば、
この事件は、制度上の理解不足でも、ミスでもなく、故意的な犯罪だ。
『福祉』を隠れ蓑に、入所者の財産が不正に搾取されるなど、あってはならないことだ。



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