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『こいも』 日々思うあれこれ

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高齢者住宅のケアマネジャーの役割と矜持 


ここまで、4回に渡って、今のサ高住のビジネスモデルに代表されるような、介護サービス併設型高齢者住宅の介護システムの法的課題について述べてきました。

私は、介護サービス事業所を併設してはいけないと言っているではありませんし、併設された介護サービス、同一法人の介護サービスを使うなということでもありません。
訪問介護や訪問看護を併設することによって、入居者と介護看護サービスの距離は近くなりますし、高齢者住宅事業と一体的に質の高い介護サービスが提供されれば、介護に対する安心や利便性が高まることは間違いありません。家族や利用者も、『どうしてもこの事業所を利用したい』という人は少ないでしょうから、併設サービス事業者が質の高い介護サービスを提供しているのであれば、自信を持って紹介すればよいでしょう。

問題は、安易に高い利益を上げようとするために、ケアマネジメントの理念を無視していることです。
これまでは、主に事業者の『制度変更リスク』『併設訪問介護サービス事業者の未来』という側面から議論することが多かったのですが、ここでは、この問題についてケアマネジャーはどう対応すべきか・・について考えます。

述べてきた
  ① 区分支給限度額の上限まで利用することを前提にしている
  ② 生活ニーズ・目標に合致したサービスをプラン化していない
  ③ ケアプランに基づいて正確に介護サービスが提供されていない
という介護システムには、ケアマネジメントの側面から二つの問題があります。

一つは、担当する要介護高齢者に対して適切なケアマネジメントができていないということです。
医療の場合、医師が診察や検査をして、その病名・病状を判断し、それを患者・家族に伝え、その治癒や病状の改善を目的として、投薬や手術など最も適切な治療方法を決定することになります。
これは、介護保険上のケアマネジメントも同じです。ケアマネジャーは面談・アセスメントを重ね、要介護状態・生活ニーズを判断し、生活自立度やQOLの向上を目指して、介護保険サービスなどの利用を支援することになります。

しかし、最初から『区分支給限度額全額利用ありき』『併設・同一事業所サービス利用ありき』というケアプランは、介護保険制度の根幹であるケアマネジメントに基づくものではなく、アセスメントも長期短期目標の設定も完全に無視しているということです。
『限度額までできるだけ介護サービスをたくさん使った方が利用者のためだ』と開き直る人がいますが、それは病状から判断せずに、『高い薬や注射をした方が早く治る』と言っているのと同じです。利益のために不要なサービスを押し付ける専門家の立場を悪用した行為にほかなりません。

もう一つは、モニタリングの不備です。
ケアマネジャーの重要な仕事の一つに『モニタリング』があります。このモニタリングは、『提供されたサービスが課題改善に効果があるか』『提供されたサービスに問題はないか』を見直すことですが、高齢者住宅は、家族が同居しているわけではありませんから、その根幹となる『ケアプランに基づき適切にサービスが提供されているか・・』の確認・チェックも必要です。

しかし、このような事業所では、適切なモニタリングやケアカンファレンスは行われておらず、ケアプランとサービス実施報告だけ無理やり合わせて保険請求をしているケースも少なくありません。オムツ介助が必要な高齢者に対して、『20分以上30分未満の訪問介護』の介護報酬を算定しているのに、実際には5分程度のオムツ介助しか行っていない、一人のホームヘルパーが『20分以上30分未満の訪問介護』を一時間に5人も6人も算定しており、それが常態化しているということになれば、介護保険法違反だというよりも詐欺的行為です。

このような不正にケアマネジャーが全く気が付かないということは、通常ありえません。
述べてきたように、今後監査は厳しくなりますから、このような介護システム・ケアプランは必ず行政指導の対象になります。訪問介護事業者に違反が見つかれば、同時にケアマネジャーも厳しく指摘を受けることになるでしょう。
指導に従わない場合、居宅介護支援事業所の指定取り消しだけでなく、ケアマネジャー個人に対する資格停止・資格はく奪など、厳しい処分が下ることになります。特に、同一法人が、高齢者住宅、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所を一体的に経営しており、時間通り介護サービスが提供されていないことを知っていながら、放置していたということになれば、行政罰だけでなく、詐欺罪などの刑事罰が科される可能性もあるのです。

この問題について話をすると、ケアマネジャーからは、『私たちはスタッフなので、社長や会社の方針には逆らえない』という声が聞かれます。
残念ながら、管理者・経営者の中には、『高齢者住宅は儲かりそうだから・・』と安易に参入し、高齢者介護のこともケアマネジメントのことも全く知らないという人が少なくありません。『もっと利用させろ』『全額利用しないと利益があがらない』と当たり前のように考えている人もいますし、介護保険を全額利用させることで利益をあげるという間違ったビジネスモデルのところもあります。会社の方針と個人のケアマネジメントに対する考えが一致せずに、ストレスを感じているケアマネジャーは少なくないようです。

しかし、ケアマネジャーは、公的な介護保険制度の介護報酬算定に関わる重要な業務を、一定の資格を得て行っているのですから、『指示されたから仕方ない』では済まされないのです。
もし、現在の業務や介護報酬請求について法的に問題があるとかんがえるのであれば、管理者・経営者としっかり話し合いをしなければなりません。ケアマネジャーは、介護保険制度の根幹となるケアマネジメントの専門職種ですから、『会社の方針だから・・』と安易に受け入れるのではなく、プロとしてケアマネジメントの理念や法律違反、不正請求の可能性があること、伝えなければなりません。不正であることを伝えても、『これくらいは大丈夫』『他の事業所でもやっている』などと改善されないのであれば、自分の身を守るためにも、その事業所で働いてはいけないのです。

生活保護の問題をみてもわかるように、社会保障の不正受給に対する視線は厳しさを増しています。行政処分として公表されただけで、『高齢者をくいものにした悪徳業者』『不正を行ったケアマネジャー』という厳しい非難にさらされるることになります。
最悪の場合、高齢者介護の業界で働けなくなります。ケアマネジメントのプロとして、これまで懸命に努力したことはすべて無駄になるのです。

ケアマネジャーは、介護サービスの手配師・ブローカーではありません。サ高住であれ、住宅型有料老人ホームであれ、介護保険制度の基礎を無視して、ビジネスモデルは成立しません。ケアマネジャーとして、違法なビジネスモデル、ケアプランには断固抵抗しなければなりません。それが長期的には、その事業者・法人のためになるのです。

ケアマネジャーは、介護保険制度の基礎となる専門職です。
介護保険制度の理念を守り、利用者の立場に立って最高のケアプランを策定するという使命と、プロの矜持を強く持っていただきたいと、心から願っています。



【関連コラム】

  介護サービス併設型高齢者住宅の法的課題 ①
  介護サービス併設型高齢者住宅の法的課題 ②
  介護サービス併設型高齢者住宅の法的課題 ③
  介護サービス併設型高齢者住宅の法的課題 ④

  高齢者住宅のケアマネジャーの役割と矜持




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