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『こいも』 日々思うあれこれ

あれこれ日々思うこと、考えることを、書いています。

 

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長崎 グループホームの火災死亡事故について 


ご存じの通り、グループホームで火災が発生し、4人の入所者が亡くなりました。
何度も繰り返される悲劇。
マスコミが大々的に報じ、全国で消防の一斉点検が行われるものの、
多くの人が感じているように、『のど元過ぎれば何とやら・・』 根本的な解決には程遠く、
このままでは、これからも何度も同じような死亡火災事故が発生することになります。

何故、こんなことになっているのか・・
その責任はどこにあるのか、根本的に何が問題なのか・・・二つの課題を整理します。


一つは、制度上の課題です。
グループホームでも、サ高住でも、有料老人ホームでも、要介護高齢者が集まって生活しているということに、変わりはありません。一般の住宅火災でも、逃げ遅れて亡くなる方の多くは高齢者です。身体の不自由な認知機能の低下した要介護高齢者が集まって生活しているのですから、万一、火災が発生すれば、多くの死亡者が発生する大災害になるのは当たり前です。

そのため、特別養護老人ホームの防災・防火基準は、非常に高く設定されています。恐らく、大きな地震が発生して、周囲の建物が崩壊しても、消防署と新しい特養ホームは建っているでしょう。火災に対する対策も、スプリンクラー、自動通報装置、防火シャッターなどフル装備です。

しかし、その一方で、グループホームや民間の高齢者住宅に対する対策は遅れています。
有料老人ホーム設置運営指導指針に基づいて計画される有料老人ホームには高い基準はありますが、グループホームは小規模のもの、一般の住宅を改築したものが多いため十分な対策が取られていませんし、登録だけで開設できる高専賃・サ高住は、一般の賃貸住宅と変わらない基準です。

グループホームは、『家庭的な雰囲気を大切に・・』ということで、1ユニット9名で、2ユニット未満とといった小規模の体制がとられてきたのですが、普通に考えれば、『家庭的な雰囲気』と『火災による大参事』、どちらを優先すべきかわかるでしょう。また、『防災対策を強化したから施設的な雰囲気になる』というものでもありません。

防災・防火対策は、ハードとソフトの両方が必要です。
火災や自然災害に強い建物とすること、火災や災害が発生しても被害を最小限に食い止めるための消火設備が完備されていること、その上で、防災訓練や利用者・スタッフに対する啓もう活動を行っていかなければなりません。
ただ、ソフトの充実は運営後にも可能ですが、スプリンクラーなどの防災・消火設備を開設後に加えることは簡単ではありません。開設前に設置する以上の費用がかかるからです。

高齢者住宅、介護施設の事業特性、火災・災害リスクの高さ・被害の甚大さを考えると、高齢者住宅・施設には高い基準を設定し、開設時にそれだけは何としても守らせる・・・という方法を採らないと、後追いで指導・改善を行わせることは難しいのです。


もう一つ、いつもこの手の事件で強く感じるのが、事業者の責任感のなさ・・です。
火災死亡事故が発生すると、
  『介護報酬が低いのが原因』 『経営が安定しない中でそこまで対応できない・・』
などと、いかにも介護報酬や制度上の課題が、大きな原因であるように言う人がいます。

その人達に聞きたいのは、グループホームは、行政に無理やりにやらされたのか・・です。
当然、無理強いをされたわけではなく、超高齢社会で需要が高まり儲かりそうだからグループホームをやりたいとみずから手を挙げて始めたんでしょう。そもそも、1単位(9名)のグループホームは、ビジネスモデルとしては成り立ちません。また、今回のグループホームの間取りのように1階と2階に入居者が分かれていれば、二つのフロアーをスタッフは走り回ることになりますから、十分に目は行き届きません。

ビジネスモデルとして成り立たないとは、収支が合わないということではなく、最低限、果たすべき事業者の責任を果たすことができないということです。多くの人が勘違いしていますが、制度の基準に合致していれば、法令違反をしていなければ、事業者の責任が果たされたわけではありません。消防法に合致していれば、刑事罰に問われないというだけです。入所者数の多寡にかかわらず、夜勤ひとり体制というのは、事故や急変が発生したときに何にもできませんから、リスクマネジメントの視点からはありえないのです。
事業者は、入所者・入居者が安全に生活できるように、十分な配慮をする義務が生じます。行政から、『危険だから』と指摘されていたのに、改善していないのであれば、『予見可能性はあったのに結果回避義務を果たしていない』と、民事裁判になれば確実に負けます。

これは、高専賃やサ高住など、『需要が高い』と安易に高齢者住宅事業に参入してくる人にも言えることですが、入居者・入所者の命にかかる防火・防災対策さえ、『基準がないから必要ない』『金がないから無理』と安易に考えている時点で、高齢者住宅事業に参入する資格はなく、経営を続ける能力もないのです。

開設基準に問題があることは事実ですが、開設中のグループホームのスプリンクラー設置には、半額の補助金が出ていますし、実際に高齢者が生活しているのですから、市町村や都道府県が指導に従わない事業者を閉鎖するというということもできません。市町村や県の指導にも限界があります。

『儲かりそうだから』『需要が高まるから』と、自分から手を挙げておいて、入所者の安全を守るという最低限の責任を果たそうともせず、『補助金をもっとくれないとできません』『経営が大変なのでできません』というのは、話になりません。
また、『現場のスタッフは安い給与で頑張っている』といいますが、その責任は、経営の理念も長期的展望もノウハウもなく、安易に始めた事業者にあることは明らかです。一言でいえば、スタッフが頑張っていても、経営者が仕事をしていないから、こんなことになるのです。


このグループホームの問題は、現在のサ高住が抱えている課題と同じです。
安易に量的拡大を図ったために、最低限の安全基準さえ整っていないのです。
真剣に、この問題を解決するには、二つの施策を実行する必要があります。

一つは、述べたように、防災・防火に関する高い基準を設定し、その基準に合致しないものは開設させないということ、そしてもう一つは、現在経営中のすべてのグループホームにも、3年などの期限を区切って、徹底した防災対策を行わせることです。その期間内に改善できない場合は、指定解除を行うといった厳しい対応を行うことと、計画的に改善が行われない場合、新規入所者の受け入れを禁止するなどの措置も必要でしょう。最低基準は国で策定するとして、その基準の強化・緩和は、それぞれの地域性に合わせて各都道府県・市町村で検討するようにすれば良いでしょう。

今のままでズルズルと同じことをしていても、入所者の命を守ることはできません。これは、サ高住や無届施設から転向する有料老人ホームに対しても同じです。
基準が高い・低いという問題ではなく、入居者・入所者の命を守れないような事業者は、どこかの段階で、この業界から出て行ってもらわなければならないのです。

当然、一定期間は混乱もあるでしょうが、高齢者の住宅整備は、40年50年といった超長期的視点から行う必要があります。失敗の責任は制度設計にもあるのですから、本気でこのような悲惨な人災を食い止めるには、どこかで必ず厳しい対応が必要になるのです。




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category: 高齢者住宅に関すること

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