FC2ブログ

『こいも』 日々思うあれこれ

あれこれ日々思うこと、考えることを、書いています。

 

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

category: スポンサー広告

TB: --    CM: --

サ高住における事故責任 Ⅲ 


昨日は、大阪慈慶学園さんのお招きで、介護施設のリスクマネジメントについて講演。
普段は、高齢者住宅の経営者や開設予定者を前にお話しをすることが多いのですが、介護施設の現場のスタッフや老人ホームの現場の管理者の方を対象にお話しをするのは、とても楽しいものです。
今すぐは難しいけれど、『また老人ホームで働きたいなぁ・・』と思います。
お願いすれば、誰か、雇ってくれるだろうか・・・・




前回の記事はこちら・・

サ高住のもう一つの必須サービスは、『安否確認』。
サ高住の登録のためには、安否確認サービスは必要なのですが、その範囲は広く、スタッフによる定期訪問の他、一定時間水が流れていない・トイレに行っていないなどのライフセンサーを使っての確認でも可能だとしています。つまり、サ高住として登録するするために、『安否確認的なもの』があれば、OKですよ・・という、軽いノリでしかありません。

しかし、この安否確認サービスにかかる事業者責任は、決して軽いものではありません。
サ高住の制度課題については、いろいろと当ブログでも書いていますが、危険だと感じるのが、前回述べた相談サービス同様に、『安否確認』の法的責任、安全配慮義務はどこまで発生するのかについて、全く検討されていないことです。安否確認を必須サービスとして提供するということは、サ高住の事業者には安否確認サービスの提供責任が生じます。そのサービスに瑕疵があり、人身事故や死亡事故が発生すれば、事業者は契約違反として莫大な金額の損害賠償を請求され、対応したスタッフも業務上過失致死傷に問われる可能性がでてきます。

サ高住の安否確認サービスの特性について、理解すべき3つのポイントを挙げます。
 
【対象によって必要なサービスは変化する】
ひとつは、必要な安否確認サービスの内容、その事業者責任は、元気高齢者を対象としたものと要介護高齢者を対象としたものとは違うということです。
例えば、元気な自立高齢者を対象とした場合、ライフセンサーによるチェックや『新聞がとられているか』『食事に出て来られているか』といった、事業者と入居者との間で事前に決められたサインや異常があれば、安否を確認するというものです。消極的な安否確認だと言えます。
これに対して、要介護高齢者の安否確認サービスは、他の訪問介護や訪問看護サービスと同様に、ケアプランの中で指示されることになります。身体機能や認知症など、ケアマネジャーや訪問介護事業者と情報を共有し、それぞれの入居者の生活レベル、生活ニーズ、介護事故などのリスクに合わせたきめ細やかな安否確認サービスが必要となります。当然、予見可能性、結果回避義務といった安全配慮義務のレベルは高くなります。事前に決められたものだけでなく、介護事故などを想定し、積極的な安否確認が必要になります。

【安否確認と緊急対応は一体的なもの】
二つ目は、安否確認と緊急対応は一体的なものだということです。
安否確認は、『いつも、お元気にされています』『異常はありませんでした』という単純なものではありません。大切なのは、安否の『否』であったときに、どうするのかです。例えば、本人の姿が見えないときにどのような対応をするのか、元気な高齢者の場合と、認知症の徘徊の症状が出始めている高齢者とでは変わってきます。その他、『転倒を発見していたときにどうするか』『入居者から頭が痛いとコールがあったときどうするか』など、様々なケースを想定しておかなければなりません。救急車の手配から家族への連絡、時には警察との連携も必要になります。特養ホームや介護付有老ホームのように、介護専任スタッフが常駐しているわけではありませんから、その判断・対応の責任は非常に重くなります。

【サービスの確実性】
もう一つは、安否確認はサ高住に義務付けられているサービスだということです。
この安否確認の業務は、一般のマンションの管理人と同程度の業務内容だと考えている人がいるかもしれませんが、それは全く違います。一般の賃貸マンションの管理人や大家さんでも、何日も新聞がたまっていたり、この数週間姿を見ていないと、警察に連絡することがあります。ただし、それは業務ではなく、マンション管理上の問題だからです。
一方の、サ高住の安否確認は、入居者との契約に基づくサービスです。『昨日の夕刊がとられていない』『朝食にでてこられていない』となれば、そのたびに部屋を訪問し安否を確認しなければなりません。万一、夕方まで気がつかず、確認が遅れたために、死亡したり、病状が悪化した場合、契約義務違反を問われることになります。
これは、緊急対応も同様です。コールが鳴って部屋内での転倒を発見した場合、頭部打撲や異常がないか確認しなければなりません。『意識があるから』とそのまま寝かせ、翌日、状態が急変したという場合、対応の瑕疵が問われることになります。


このように考えると、『安否確認的なもの』があれば登録OKですが、そのサービス提供責任は、非常に重いということがわかるでしょう。スタッフコールを設置し、夜間に宿直員が常駐・対応するとしているところも多いのですが、安否確認サービスとは何かの理解が不十分で、緊急対応を含めたその判断・対応方法が決まっていない、最低限の対応マニユァルさえ作られていないところが大半です。
当初は自立度の高い高齢者が多くても、加齢による身体機能・認知機能の低下によって、要介護高齢者が増加し、昼夜を問わず、スタッフコールは増えていきます。今のスタッフコールはコール時間が残りますから、対応が遅れれば、対応責任を問われることになります。他の入居者と話をしていた、他の入居者に呼ばれたから遅くなった・・というのは理由になりません。無資格で経験もない、宿直バイトができるような仕事ではないのです。

当然、サ高住にも『安全配慮義務』が求められます。
この安全配慮義務の範囲は、元気高齢者と要介護高齢者では変わってきます。それは自己決定・自己責任の範囲の差だと言っても良いでしょう。要介護高齢者には、予見される事故が増えていきますから、それだけきめ細やかな安否確認が必要となります。一般の訪問介護では、安否確認だけのサービスはありませんから、入居者一人ひとりのケアプランに合わせて、状態のチェック、異常の有無について行う必要があります。『可能な限り頑張ります』『できないときもあります』は通用しないのです。要介護高齢者、認知症高齢者が増えてきた場合、60名、70名定員のサ高住では、一人の夜勤スタッフで対応することは難しくなるでしょう


以上、三回に渡ってサ高住のサービスと事故の発生責任について述べてきました。
このサ高住の安全配慮義務がどこまでか・・というのは議論の余地のあるところです。サ高住の制度そのものが新しいために、法律や判例でその線引きが明らかになっているわけではありません。
『サ高住は施設ではなく住宅だ』『サ高住は個人の自宅だ』という中には、『個人の住宅なので、介護施設や介護付有料老人ホームと同列に安全配慮義務を論じるべきではない』という声も少なくありません。確かに、介護保険の包括算定と区分支給限度額の出来高算定の違い、介護サービス提供事業者が同一か別法人かなどのポイントから議論の余地はあるでしょうし、全く同じとは言えないかもしれません。

しかし、見てきたようにサ高住の中で発生する事故・トラブルに対して事業者の負うべき責任は、入居者個人の自宅とは比較にならないほど、重いということは事実です。また、施設か住宅か・・と分類しているのは事業者側・提供者側であり、第三者の目からみれば、『介護付有老ホームは施設なの?』『住宅型は住宅ではないの? 変な話ね』『サ高住は住宅だから責任は別なの? 対象もサービスも同じなのにね・・』ということになるでしょう。
事業種別に問わず、『介護が必要になっても安心・快適』と介護施設と同等のサービスをアピールしているのであれば、それに応じた提供責任が求められることになります。『自己責任だけは別』『だって制度上、住宅だから』という論理は成り立ちません。

介護事故・リスクマネジメントの根幹にあるのは、高齢者住宅関連制度に合致しているか否かではなく、民法上の責任・安全配慮義務を果たしているか否かです。安心・快適に生活できるためのサービスをアピールするためには、その基礎となる安全・信頼を基礎としたシステムの構築、サービス提供責任が求められるのです。







category: 介護事故 事業者の法的責任

TB: 0    CM: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://coimo01.blog.fc2.com/tb.php/182-7a9565e1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

カテゴリ

最新記事

最新コメント

リンク

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。