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『こいも』 日々思うあれこれ

あれこれ日々思うこと、考えることを、書いています。

 

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サ高住における事故責任  Ⅰ 


3回にわたって、事業者の責任が問われる介護事故と、その予見可能性・結果回避義務について述べてきました。ただし、ここまでは介護施設・高齢者住宅事業者によって介護サービスが包括的・一体的に提供されている特養ホーム・老健施設・介護付有料老人ホーム(一般型特定施設)のケースです。

では、住宅サービス、介護サービスの提供責任が分離しているサ高住や住宅型有料老人ホームで発生した事故の責任はどうなるのでしょうか。実は、その答えは簡単ではありません。それぞれの介護システムや事故事例、対象者レベルなどによって大きく変わってくること、また、判例としても確立されていないからです。要介護高齢者でない場合、『介護事故』と呼ぶべきなのかどうか・・というところも疑問です。ここでは、その責任についてどのように考えるのか、ポイントは何か、事業者責任から何を読み取るべきかについて、私の考えを述べたいと思います。


事故責任の前提として、いくつかの命題について考えたいと思います。

まずは、サ高住で発生した事故の事業者責任は、自宅内で発生する事故と同じなのか違うのかです。
例えば、サ高住は有料老人ホームと違い賃貸方式ですから、居住権は借家権です。法的にも個人の住居としての権利が強まります。そう考えると一般の賃貸アパートの家主と責任はどう違うのか、これまでの高専賃や高円賃はどうかという問題がでてきます。

この命題を二つの視点から考えます。
ひとつは、建物・設備の瑕疵による事故の責任です。

分譲マンションや所有権のある自宅の場合、その建物設備の管理責任は、その居住者(高齢者)本人にあります。危険な階段や段差が原因で骨折や怪我をしても、本人の管理下にある建物設備ですから、誰を訴えるわけにもいきませせん。

これに対して、賃貸マンション・賃貸アパートの建物全体の管理責任は事業者(家主)にあります。建物・設備になんらかの瑕疵があり、それが原因で居住者が怪我した場合、オーナーの管理責任が問われることになります。『ベランダの柵が壊れていて転落した』『廊下に釘がでていて怪我をした』といったケースが当てはまります。これは、サ高住に限らず学生マンションでも同じです。

ただし、サ高住は、高齢者専用の住宅ですから、その建物設備は、『身体機能の低下した高齢者の安全に配慮していること』が前提となります。一般の賃貸マンションよりも高い安全基準、安全配慮義務が求められるということです。一般的な賃貸住宅としては問題がなくても、雨水による玄関の滑り、階段からの転落など、過去に事故があった場所や、家族やホームヘルパーから危険性を指摘されていたにも関わらず改善策をとっていない場合、『安全配慮義務違反』を問われることになります。

理解しなければならないのは、安全配慮義務と建物設備基準とは別物だということです。
これまでの旧高専賃は登録制であるため、建物設備の基準はありませんでした。都道府県によっては、新しく作られるサ高住の登録に対して、バリアフリーなどの基準を定めているところもありますが、有料老人ホームと比較すると登録基準は非常に緩いものです。
サ高住だけでなく、有料老人ホームでも、『バリアフリーなどの建物設備基準がないから』『建物設備基準に合致しているから責任なし』とはなりません。それは、建築基準法や消防法上の基準を満たしても、安全配慮義務を満たしたことにはならないのと同じです。

更に、それは建物設備の設計上の課題だけではありません。
賃貸アパートなどに行くと、自室に入りきらない私物を共用部の廊下に出している人を良く見かけます。サ高住では、それによって手すりが使えない、歩行や車いす移動に邪魔になる場合は、入居者に自室に入れるように指示しなければなりません。歩行に邪魔になることがわかっていたのに放置し、それが原因で転倒などの事故が発生した場合、事業者に対して、債務不履行として損害賠償が求められることになります。

一言で、高齢者住宅に適した建物設備と言っても、対象が自立度の高い高齢者か、要介護状態・認知症の高齢者なのかによって違ってきます。ただ、高齢者は加齢によって、身体機能・認知機能が低下していきます。サ高住は、『介護が必要になっても安心』と標榜・説明しているのですから、建物・設備には、要介護高齢者を対象とした高いレベルの安全配慮義務が求められていると考えるべきでしょう。

介護事故の予見可能性と結果回避義務 Ⅱ で、『予見可能性』の判断として、
  ① 一般的な高齢者の身体機能レベルから、介護事故の発生が予見されるもの。
      ⇒ 類似のケースから、介護事故の発生か予見されるもの。
      ⇒ 当該介護施設・高齢者住宅で、類似の介護事故の発生があったもの。
  ② 対象となる高齢者の身体機能レベルから、事故の発生が予見されるもの。
      ⇒ アセスメント・ケース記録から、介護事故の発生が予見されるもの。
      ⇒ 対象となる高齢者に、類似の介護事故の発生があったもの。
を挙げています。

対象者は同じ高齢者ですから、『高齢者住宅は施設ではない』といった狭い業界内の表面的な議論は通じません。建物・設備においては、同じレベルでの『予見可能性』『結果回避義務』が求められると考えています。









category: 介護事故 事業者の法的責任

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