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『こいも』 日々思うあれこれ

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介護事故の予見可能性と結果回避義務 Ⅱ 


前回に引き続いて、もう少し、予見可能性と結果回避義務について考えてみたいと思います。

まず、予見可能性です。
簡単に言えば、高齢者介護のプロとして、その事故発生、被害拡大は予想可能なものか否かです。

予見可能性はどのようなポイントで判断されるのか、事故発生の視点から整理します。

  ① 一般的な高齢者の身体機能レベルから、介護事故の発生が予見されるもの。
      ⇒ 類似のケースから、介護事故の発生か予見されるもの。
      ⇒ 当該介護施設・高齢者住宅で、類似の介護事故の発生があったもの。
  ② 対象となる高齢者の身体機能レベルから、事故の発生が予見されるもの。
      ⇒ アセスメント・ケース記録から、介護事故の発生が予見されるもの。
      ⇒ 対象となる高齢者に、類似の介護事故の発生があったもの。


大きく分けると二つです。
一つは、一般的な高齢者の身体機能レベルから予見可能性があると判断されるものです。
高齢者は、筋力・バランス機能が低下しているために転倒の危険性は高く、骨密度が低下するために骨折する可能性が高くなります。また、嚥下機能が低下するために食事がのどに詰まりやすく、吐き出す力も弱くなっていますから、誤嚥性肺炎や窒息のリスクは高まります。高齢者住宅は身体機能の低下した高齢者を対象とした高齢者専用の住宅ですから、建物設備設計、サービス提供においては、それらの危険性を理解し、高い安全性を確保しておかなければなりません。

そのレベルは、その介護施設・高齢者住宅がどのような身体レベルの高齢者を対象としているのかによって変わってきます。身体機能レベルの低下した重度要介護高齢者を対象とした特養ホーム、認知症高齢者を対象としたグループホームなど、その対象者のレベルに合わせて、より高い安全配慮が求められることになります。

他の介護施設・高齢者住宅で発生している介護事故や、骨折・死亡などの重篤な事故は、それ以外の介護施設・高齢者住宅でも発生する可能性があります。電動ベッドでの骨折事故・死亡事故が報告されていますが、これらの事故を知らなかったでは済まない、予見できなかったと言ってもそれは通りません。
又、その介護施設・高齢者住宅内の同じ場所・介助場面で、他の同程度の身体機能・生活レベルの入所者に類似の介護事故が発生していたのであれば、当然、二度、三度と同様の事故が発生することは予測できると判断されるでしょう。

もう一つは、対象となる高齢者個別の身体機能レベルから事故発生が予見されるものです。個別のケアマネジメント、日々のケース記録、事故報告書などから予見可能性を判断するものです。

右麻痺、左麻痺、視覚障害、聴覚障害、嚥下障害などの身体機能、認知症や精神疾患、自立歩行、自走車椅子、介助車椅子、寝たきりなど、入居者のADL、QOLによって、予見される事故は違ってきます。入所時・入居時のアセスメント、入所後にはケース記録を基礎としたモニタリングの中に、事故の予見可能性を示すデータはたくさんあります。

中でも、予見可能性を決定づけるのが、『事故報告書』です。
多くの事業所で、『ヒヤリハット事故報告書』『インシデント事故報告書』というものを策定しています。転倒したけれど怪我や骨折をしなかった・・というものが多いのですが、そのときは運良く怪我をしなかっただけで、次に転倒し、骨折した場合、必ず、その予見可能性は十分にあったと判断されます。報告書の内容が、『今度から気をつけます』といった反省文で、事故を回避するための対策がとられていない場合、事業者の責任はより重くなります。『ヒヤリハット事故』でよかった・・・と軽く考えていると、次にその転倒すれば、それは事業者責任が問われる明確な証拠になる、断罪されるということを理解しなければなりません。

以上、予見可能性が問われるポイントを挙げましたが、介護施設・高齢者事業が求められるレベルは非常に高く、ケース記録、事故報告書など、日々の業務・サービスと一体的なものであることがわかるでしょう。
 

もう一つ、ここで理解しておかなければならない重要なことは、その予見可能性は、個々のスタッフの技術・知識によって判断されるものどはないということです。

現在のところ、特養ホームや介護付有料老人ホームの介護スタッフには、介護福祉士やホームヘルパーなどの介護資格が必要ありません。そのため、ベテランの介護福祉士から、未経験・無資格の新人スタッフまで、様々な技術・知識レベルの介護職員が働いています。
ただ、この予見可能性は、『新人だったから仕方ない』 『無資格者だったから予見できない』という個々人の知識・技術で判断されるものではありません。昨日、介護の仕事を始めたばかりの無資格のスタッフであっても、求められる予見可能性は、高齢者介護のプロとしてのレベルであることは言うまでもありません。

高齢者介護という仕事は、身体機能の低下した高齢者・要介護高齢者を対象としているために、小さなミス、一瞬の隙が、骨折や死亡といった重篤な事故につながります。排泄介助や食事介助など、介護手順だけを見れば、『誰にでもできる仕事』『資格がなくてもできる仕事』『家族の代わりの仕事』だと考えられがちですが、介護事故に対する法的責任、事業者が負うべき安全配慮義務を考えると、そう簡単なものではないのです。



koujuu-1

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category: 介護事故 事業者の法的責任

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