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『こいも』 日々思うあれこれ

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介護事故と介護ミス 


前回、介護事故の定義について書きましたが、これは、介護保険施設・高齢者住宅の経営ノウハウのひとつである、サービス管理を行う上でのターゲットを明確にするためです。

医療事故を考えるうえでも、『医療過誤・医療ミス』の定義がなされています。
医療過誤のケースとしてイメージされるのは、『患者の取り違え』 『投薬の間違え』 『手術部位の間違え』などで、当然これは医師・看護師の刑事責任、ひいては事業者の民事上の使用者責任も問われることになります。しかし、明らかに医療過誤や医療ミスでないもの、スタッフ・事業者の責任でないものまで、考える必要はないのではないか・・同様に、介護スタッフ・介護施設の責任のない事故まで介護事故に含める必要はない・・・という意見があることも事実です。

正直に言えば、私も当初は、介護スタッフのミス・事業者の過失によって発生する事故を『介護事故』とし、介護スタッフのミス、事業者の過失・責任ではない事故を『生活事故』 と区別して検討していました。ただ、実際に介護事故の問題を考えていくと、介護施設・高齢者住宅のサービス管理下で生活する入居者・入所者に発生する事故で、『明らかに、スタッフ・事業者の責任ではない事故』だと明確に分類することは難しいのです。

二つのことを考えてみましょう。
ひとつは、自宅に訪問する訪問介護と、特養ホーム内で介護を行うケースの責任の違いです。
訪問介護は、『入浴介助』『排せつ介助』など、時間単位のポイント介助です。その時間内に発生した事故については、ホームヘルパー・訪問介護事業者の責任が問われる可能性があります。しかし、訪問介護時間外(ホームヘルパー)が帰った後に発生した事故については、ホームヘルパーの行為が事故の誘因とならない限り、責任は問われません。ホームヘルパーが帰ってから3時間後に、畳のへりに躓いて転倒しても、ホームヘルパーの責任ではありません。当然のことです。

特養ホームや介護付有老ホームでも、排泄介助・入浴介助など、直接介助中に発生した事故については、刑事・民事上の責任が問われる可能性が高くなります。ここまでは同じです。ただ、訪問介護と違い、直接介助時間外に、歩行中に転倒・骨折した場合でも、スタッフの行為が誘因になっていなくても、スタッフや事業者にまったく責任がないとは言えないのです。

例えば、廊下が濡れていて滑りやすくなっていたとすれば、事業者の安全配慮義務違反となります。ふらつきがあり、転倒の可能性があると認識できたのに、転倒事故を回避するために対策をとっていなければ、これも安全配慮義務違反です。ケアプランなどに、『ふらつき有、歩行時見守り』などと書いてあれば、完全に契約不履行です。
転倒事故が発生すると、『24時間見守りを続けることは不可能』『自宅で生活していても転倒はする』という声を聞きますが、自宅で行う訪問介護における介護事故と、高齢者住宅・介護施設における介護事故は、その責任の範囲が違うのです。

もう一つ、ポイントとして理解しておかなければならないのは、ADL・QOLとの関係です。
例えば、大学生が授業を抜け出して喫茶店に行こうとして交通事故にあった場合、大学の責任は問われないでしょう。しかし、幼稚園や小学生が、授業中に先生の言うことを聞かずに校門の外に出て事故にあった場合、先生や学校の管理責任が問われることになります。

これは、介護施設・高齢者住宅でも同じです。
サ高住に入居中の自立度の高い65歳の高齢者が、『ちょっと散歩してくる』と外出して事故にあった場合、事業者の責任は問われないでしょう。しかし、特養ホームや老健施設で認知症高齢者がいなくなり、外で事故にあったとなれば、施設の管理責任が問われることになります。

このように、事業者の過失が問われるのは、『入浴中に入居者を転倒させた』『車いすをぶつけた』『違う薬を飲ませた』といったような、明らかな介護ミスだけではありません。介護施設・高齢者住宅の介護事故は、訪問介護とは比較にならないほどスタッフ・事業者の過失だと認定されるケースは多く、その対象が要介護高齢者の場合は、管理責任はより重くなるのです。

ただ、それは『介護施設内、高齢者住宅のサービス管理下で発生した介護事故は、すべて事業者の責任だ』と言っているのではありません。高齢者住宅・介護施設事業者がサービス管理の基礎として理解しなければならないことは、表面的な介護ミスではなく、安全配慮義務違反を含め、法的にどのような基準・視点で、高齢者住宅・介護施設の事業者やスタッフの責任が問われるのかです。

介護施設内、高齢者住宅内、そしてその管理下で発生した事故は、介護ミスがあったか否かに関わらず、すべてサービス管理実務の対象とすべき介護事故なのです。『ミスをしていないから介護事故ではない、スタッフ・事業者の責任ではない』というところで止まってしまうと、事故から入居者を守ることも、スタッフを守ることも、事業を守ることもできないのです。









category: 介護事故 事業者の法的責任

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