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『こいも』 日々思うあれこれ

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サ高住の課題と未来 ⑥  ~介護保険Ⅲ~ 



現在の高齢者住宅関連制度は長期安定的なものではありません。
有料老人ホームとサ高住の二つの制度が、今のままで並列することはありません。
同様に、特定施設と区分支給限度額の二つの類型が適用され続けることもありません。

『有料老人ホームかサ高住か』 というテーマで介護経営誌が特集を組んでおり、コメントを求められることがあります。確かに、開設のしやすさという視点で見れば、サ高住に軍配が上がりますし、建蔽率・容積率などの算定方法にも違いがあります。
しかし、大切なのは開設ではなく経営です。一度開設すれば途中でやめられない、30年40年と長期安定経営が不可欠な事業において、数年後には大きく変わるであろう流動的で不安定な制度を比較して、『どちらが良いか』『そのメリットの違い』を『開設のしやすさ』を中心に論じることは意味がないというよりも、とても危険なのです。

これは、『住宅型から介護付か』 『特定施設か区分支給限度額方式か』 の議論も同様です。
大切なことは、経営に大きな影響を与える介護保険制度がどの方向に向かうのか、高齢者住宅に適用される介護報酬はどこに集約していくのかです。経営的側面から見れば、それは希望的観測ではなく、リスクヘッジを基礎として検討しなければなりません。

高齢者住宅に適用される介護報酬も、必ず一定の方向に集約されていくことになります。
これも、高齢者住宅制度と同様に、答えが出ています。
それは、高齢者住宅に対する区分支給限度額方式の適用排除です。


必須サービスと介護保険適用

前回述べた、高齢者住宅として必須サービスと、介護保険の適用について整理したものが上記の表です。比較すればわかるように、区分支給限度額方式で提供できるサービスは、純粋に言えば介護サービスと看護サービスの定期的ケアしかありません。
しかし、この方式をとる住宅型有料老人ホームやサ高住では、安否確認、緊急対応、隙間のケアなどのサービスを行っていないかと言えば、そうではありません。併設している系列の訪問介護のホームヘルパーが常駐し、これらのサービスを行っているのが現実です。ただ、それは契約上のサービスではなく『好意のサービス』に近いものとなります。隙間ケアや緊急対応などは、入居者の生活や生命に直結するサービスですが、事故やトラブル時の責任も非常に曖昧で不安定です。

高齢者住宅が適用すべきサービスを、同一・系列法人とはいえ『そこにいるホームヘルパーが臨機応変に対応します』 というのではケアマネジメントの意味がなくなり、介護保険適用上も不透明で、適正なものだとは言えません。 別の法人の訪問介護を利用している利用者は、隙間ケアや臨時ケアを受けられないとすると、実質的な囲い込みです。
この介護報酬に含まれる内容、現在の適用方法の課題、そして、その報酬単価を考えても、『 報酬の限度額が高いので、あれこれ書類上だけ合わせて対応する 』 という区分支給限度額方式の適用には課題が大きいのです。

高齢者住宅に適用される介護報酬は、必ず、特定施設に集約されていきます。それは、介護報酬の単価・限度額が大きく下げられるということだけではなく、水色で示した介護関連の必須サービスは高齢者住宅事業者の責任で提供されなければならないということです。
現在、区分支給限度額方式をとっている住宅型、サ高住も、現在の入居者に対する経過措置が残されるかもしれませんが、将来的には認められなくなります。それは、有料老人ホーム・サ高住の届け出・登録の強化と一体的なものです。ここでは、繰り返しになりますので、解説はしませんが、その準備はもう始まっています。 
(詳細は、【2012年 介護報酬改定と高齢者住宅経営 ① ~ 最終回】  )

つまり、訪問介護や通所介護を高齢者住宅に併設し、入居者がその併設介護サービスを利用することによって全体で収益を上げるというビジネスモデルは成り立たなくなるのです。残念ながら、現在の介護サービス併設型のサ高住の大半がそれに類する収益モデルをとっています。

  『介護付をやりたかったのに行政が規制したので、住宅型やサ高住にならざるを得なかった』 
  『区分支給限度額に誘導しておいて、途中からダメだというのは、あまりにも酷い』
という怒りは、ごもっともだと思いますし、私もそう思います。

もし、挙げたような課題や矛盾があっても、行政が、『現行の二つの制度を並列していくんだ・・』 ということを確約してくれるのであれば、現行制度のもとで、最も利益率の高いビジネスモデルを追及していけば良いのです。ただ、それはありません。制度間の歪は、入居者保護施策の崩壊、介護保険財政の非効率運用に直結し、超高齢社会に不可欠な高齢者住宅産業の健全育成を著しく阻害しているからです。経営を支援するコンサルタントとしては、『サ高住は、厚労省と国交省の共管ですから、これからですよ・・・』 『基準も低く、介護サービスを併設すれば儲かりますよ・・』 と安易に勧められないのです。 

介護サービス事業の最大の特性は、経営責任が問われる民間の営利目的の事業でありながら、その収入の根幹を公的な介護報酬に依存していることにあります。これは、高齢者住宅事業者も例外ではありません。その最大のリスクは、制度変更リスクです。不条理ではありますが、その責任はすべて事業者が背負わなければならないというのが、介護ビジネスの最大の特徴なのです。



【関連コラム】
    サ高住の課題と未来 ①
    サ高住の課題と未来 ② ~入居者保護 Ⅰ~
    サ高住の課題と未来 ③ ~入居者保護 Ⅱ~
    サ高住の課題と未来 ④ ~介護保険 Ⅰ~
    サ高住の課題と未来 ⑤ ~介護保険 Ⅱ~
    サ高住の課題と未来 ⑥ ~介護保険 Ⅲ~
    サ高住の課題と未来 ⑦ ~居住権 Ⅰ~ 
    サ高住の課題と未来 ⑧ ~居住権 Ⅱ~
    サ高住の課題と未来 ⑨ ~商品性 Ⅰ~
    サ高住の課題と未来 ⑩ ~商品性 Ⅱ





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