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『こいも』 日々思うあれこれ

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サ高住の課題と未来 ④ ~介護保険Ⅰ~ 


高齢者住宅事業の未来を占う上で、もう一つ、避けて通れないのが介護保険制度の方向性です。

高齢者住宅への入居を希望する高齢者・家族の最大のニーズは、安定した介護です。
『自宅で十分な介護サービスが受けられないから』 または、『将来要介護状態になったときに不安だから』 高齢者住宅への転居を検討します。元気な高齢者が、『介護が必要になってからではなく、元気なうちに高齢者住宅へ・・』 という早めの住み替えニーズという言葉が一時期流行しましたが、これも当然、『将来の介護不安への解消』 が基本ニーズです。

高齢者住宅のサービス・収支を安定させるためには、介護システムをどのように構築するかが最重要課題であり、そのためには、その基礎となる介護保険制度が安定しなければなりません。
しかし、現在の高齢者住宅と介護保険制度の間には、いくつかの致命的な欠陥・矛盾があり、それは介護保険財政の非効率運用に直結しています。根本的な制度矛盾を抱えたまま、制度が継続できるはずがありません。 これまで何度も述べてきたことですが、介護付有料老人ホームに適用される一般型特定施設と、住宅型有料老人ホームや大半のサ高住が基礎としている区分支給限度額方式の違い・課題を簡単に整理します。

【報酬額の違い】
一つは報酬額の違いです。
高齢者住宅に適用される介護報酬 4タイプを分類したものが以下の表です。

高齢者住宅に適用される介護報酬

 
一般型特定施設は日額包括算定、区分支給限度額は出来高算定です。
自宅で生活する要介護1・2の軽度要介護高齢者の平均利用割合は、区分支給限度額の50%未満であることが、特定施設の増加が介護報酬財政悪化の一因だとして、総量規制されたのですが、その50%未満という数字は、家族と同居している高齢者も含まれています。独居高齢者を限定・抜粋すれば、その利用割合は確実に増えるはずです。
特に、要介護3より重度の要介護高齢者が独居の場合、限度額一杯を利用しても自宅で生活し続けることは難しいと言われていますし、住宅型・サ高住の場合、たくさんの介護サービスを使ってほしいというインセンティブが強く働きますから、限度額まで利用することになります。

つまり、要介護5の高齢者が、介護付有料老人ホームに入居すると介護報酬は25140単位ですが、サ高住に入居するとケアマネジメント費用を含め37130単位(35830+1300)になるということです。金額的には、要介護4で月額88千円、要介護5では月額12万円の差となります。
そもそも、役割の分かれていない同じ民間の高齢者住宅なのに、介護保険の類型が違うために受けられる介護サービスの内容、ケアマネジメント、介護報酬が違ってくるというのはおかしい。百歩譲って、軽度要介護高齢者は区分支給限度額方式の高齢者住宅、重度要介護高齢者は一般型特定施設というのであれば、介護保険財政にとっては助かるのですが、実際の経営にとっては、その逆が最も利益率が高くなるため、長期的に見れば必ずその方向に流れることになります。

目先の特定施設の総量規制は、介護保険財政悪化以外の何も生まないのです。この矛盾は、外部サービス利用型特定施設の創設によって更に拡大し、全く同じ介護サービスを提供しても、その高齢者住宅の介護保険法上の類型によって、介護報酬が違うという事態になっています。

【対象となるサービスの違い】
もう一つの矛盾は、対象となるサービスの違いです。
高齢者住宅で行われる介護サービス、及びその周辺サービスと介護報酬との関係を整理したのが、次の表です。

特定施設と区分支給限度額に含まれるサービスの違い


介護サービスと言えば、排せつ介助や食事介助などの定期的ケアだけをイメージする人が多いのですが、実際には、それだけでは要介護高齢者の生活を支えることはできません。『テレビをつけてほしい』『車いすに下してほしい』といった隙間のケア、『おなかの調子が悪く何度も便がでる』 といった臨時のケア、その他安否確認や緊急対応、行事やレクレーションなどの支援も、高齢者住宅で生活する高齢者には不可欠な介護サービスのひとつです。

表を見れば一目瞭然ですが、一般型特定施設の介護報酬には、定期的ケアだけではなく、生活相談やケアマネジメント、サービス管理までが含まれています。一方の区分支給限度額の介護報酬に含まれているのは、ケアプランで指示された定期的な介護・看護サービスだけです。介護保険の対象となる家事支援、臨時のケアは、区分支給限度額の範囲内でケアマネジャーの指示を受け臨時の対応ができる場合のみ算定できます。移動や移乗などの隙間のケアは対象外ですし、当然、ケアマネジメント費用も生活相談も含まれていません。サ高住では、生活相談と安否確認が義務付けられていますが、これらは介護報酬の算定対象ではありません。
重度要介護高齢者の報酬単価を比較すれば、区分支給限度額の方が特定施設よりも、ずっと高いのですが、その報酬に含まれるサービス内容は、特定施設の方がずっと多いのです。

何故、このようなことが起こっているかと言えば、区分支給限度額方式は、そもそも高齢者住宅に適用される介護報酬ではなく、それぞれの自宅で生活する要介護高齢者を対象としたものだからです。

離れた自宅に一件一件、訪問介護、訪問看護サービスを提供しようとすれば、実際に介護サービスを提供する以上に移動時間がかかりますし、手待ち時間が発生します。一人の常勤ホームヘルパーが一日8時間で排せつ介助に訪問できる件数は、どのようにケアプランを調整しても8件~10件が限界でしょう。
これに対して、高齢者住宅で要介護高齢者が集まって生活すると効率的・効果的に介護サービスを提供することができます。介助の移動時間はありませんし、食事介助も一人で数人を介助できます。空いた時間には洗濯や掃除などの家事支援サービスも提供できます。介護の効率性を加味して特定施設の報酬単価は低く設定されているのです。

サービス内容も同様のことが言えます。
自宅で生活する高齢者には、生活相談、安否確認、緊急対応、レクレーション支援などはありません。隙間のケアもありません。距離的に離れているだけでなく、バラバラの生活スタイル・生活環境の高齢者に、一律の介護報酬の中で包括的なサービスとして組み込むことは不可能だからです。これらには個々のニーズに基づいてケアマネジャーや緊急通報サービスなどが対応しています。逆に言えば、生活相談や安否確認、緊急対応などの充実を求めるからこそ、高齢者住宅に入居するのです。

そう考えると、報酬的にも、その内容的にも、区分支給限度額を高齢者住宅の報酬として適用することが間違いだということがわかるでしょう。『高齢者住宅は施設ではなく住宅だから区分支給限度額方式で良いのだ』 というのは、用語から受けるイメージの単なる思い込みです。施設的か住宅的かではなく、報酬算定の基礎、入居を希望する高齢者のニーズを考えると根本的に間違っているのです。

実は、このことは、当然、厚労省もわかっています。
民間の高齢者住宅事業に、二つの違う報酬が設定され続けることはありません。
では、どこに向かうのか、それがサ高住の未来に大きくかかわってくるのです。


【関連コラム】
    サ高住の課題と未来 ①
    サ高住の課題と未来 ② ~入居者保護 Ⅰ~
    サ高住の課題と未来 ③ ~入居者保護 Ⅱ~
    サ高住の課題と未来 ④ ~介護保険 Ⅰ~
    サ高住の課題と未来 ⑤ ~介護保険 Ⅱ~
    サ高住の課題と未来 ⑥ ~介護保険 Ⅲ~
    サ高住の課題と未来 ⑦ ~居住権 Ⅰ~ 
    サ高住の課題と未来 ⑧ ~居住権 Ⅱ~
    サ高住の課題と未来 ⑨ ~商品性 Ⅰ~
    サ高住の課題と未来 ⑩ ~商品性 Ⅱ



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