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『こいも』 日々思うあれこれ

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高齢者住宅のデューデリジェンス 


有料老人ホーム・高齢者住宅のM&Aの基礎となるのが、デューデリジェンスだ。これは投資用の不動産購入、企業買収を行うとき、その資産価値や収益力、リスクを判断するために行う調査のことを言う。
述べてきたように、高齢者住宅事業は実績値に乏しく、事業ノウハウが確立されていないことに加え、新規参入が目的になると、将来性を課題に見積り、リスクを過小評価する調査・試算となってしまう。

最近は、高齢者住宅のM&Aを専門に行う事業者も増えていると聞く。
M&Aの情報や法的な整理、交渉、契約などは専門業者に委託するほうがよいだろう。
しかし、仲介業者は事業譲渡成立による手数料収入によって成り立っている。売買金額が大きくなれば、それだけ手数料は大きくなる。ノウハウのある仲介者であっても、ボランティアではなく、新しい経営者の今後の経営だけを考えて仲介・交渉してくれるわけではない。それは、デベロッパーや建設業者が、『この高齢者住宅はリスクが高いから建設しない方が良いですよ』 と言ってくれないのと同じだ。その基礎となるリスク判断・デューデリジェンスは、事業者の責任で行うべきものだ。

デューデリジェンスは、それだけで何冊も本がでているような奥の深いものだが、基本はその資産状況、経営内容を把握し、収益性、将来性を検討することにある。M&Aで高齢者住宅を買収する場合は、事業の特殊性・事業リスクを基礎とした、独自の事業再生計画の策定が必要になる。
その基礎となる項目は、大きく分けて4つある。

① 財務分析
財務分析・収益構造の分析において、注意すべき二つのポイントを挙げる。
一つは、不動産価値の算定だ。
一等地にある豪華な有料老人ホームなど、不動産としての調達価格がいかに高額であっても、事業の収益性・将来性とは切り離して考えなければならない。【有料老人ホーム・高齢者住宅の失敗ケース①】 で述べたように、高齢者住宅は高齢者住宅としてしか活用できない。事業として継続して収益が確保できなければ、どれだけ高額なものであっても、固定資産税だけが高額で利益を生まない不良資産でしかない。

もう一つは、入居一時金の取扱だ。
価格設定において入居一時金(償却期間・利用料前払い・終身利用)を設定している場合、必ず長期入居リスクが発生する。過去数年間利益が高く、キャッシュフローが潤沢であっても、その状態が続くわけではない。特に、介護保険制度以降に開設された有料老人ホームは、一時金の金額を抑えるために償却期間が短く設定されているものが多い。現在の入居者の年齢や要介護度から、リスクを正確に見積もることが必要だ。

② 経営リスク分析
収益性・将来性の把握は、入居者募集リスク、スタッフ募集リスク、制度変更リスク、大規模修繕リスクなど収支を悪化させる経営リスクの視点から行う。

入居者募集リスクを把握するは、その高齢者住宅の商品性(価格・サービス)に競争力はあるか、これからのその競争力を維持することができるかを分析することが必要だ。例えば、元気な高齢者を対象とした『早めの住み替えニーズ』の高齢者住宅には、入居者は集まっていない。入居一時金の規制強化によって、高額の入居一時金の有料老人ホームは入居者確保が厳しくなると言われている。今後、高齢者住宅も本格的な競争の時代に突入する。新しい高齢者住宅が次々と開設されれば、価格・サービスの競争力のない高齢者住宅は潰れていくことになる。

また、現在の労働条件が他の事業所と比較して魅力的なものか、将来的な人件費の上昇が収支にどの程度影響するのか、介護保険制度、高齢者住宅関連制度の方向性、将来的な大規模修繕が、現在の事業計画にどの程度見積もられているのか、そのリスクヘッジがどの程度行われているのかの分析も必要になる。

③ 業務リスク分析
サービス提供上発生する介護事故、入居者クレーム、感染症/食中毒、火災/自然災害など業務リスクの視点から、現在のサービスの内容、サービスの質、サービス管理状況の把握も重要なポイントだ。
重度要介護高齢者の増加に対応できるか、医療ニーズの高い高齢者への対応力、現在のスタッフの質、事故報告書策定状況、スタッフ教育体制など、様々な観点からチェックすることが必要になる。

高齢者住宅は、その事業の性格上、価格やサービス内容を変えるのは難しいと述べたが、それ以上に難しいのがスタッフの意識、モラル、士気を上げることだ。サービスの質の低い事業所のスタッフはサボっているわけでも、手を抜いているわけでもない。ダラダラと靴の裏を踏んで、ぞんざいな言葉遣いが、その事業者のふつうのレベルになっているのだ。新規開設の事業者のスタッフ教育はゼロからスタートできるが、事業買収の場合は、マイナス100からスタートしなければならないケースもある。

④ 課題分析・事業再生計画
①②③の現状分析・リスク分析によって現在直面している経営課題・サービス課題、さらに将来的に発生しうる経営課題・サービス課題を整理する。売りに出されている高齢者住宅の多くは、このままの状態で経営を続けると、経営上・サービス上の壁にぶち当たることになる。そうなってからでは、改善は難しい。

入居一時金の長期入居リスクによって、今後赤字が数年続くことが見込まれるとしても、経営が悪化する前に有効な手を打てば、長期的に業績を好転させることは不可能ではない。経営上の課題・サービス上の課題をどのように判断するのか、金融機関や行政との協議、現在の経営陣に対する要求など、買収側の主導でM&Aを進めるには、事業再生計画の策定は不可欠だ。



以上、4つのポイントを挙げたが、『新規参入にあたって事業ノウハウを買い取る』 という方法がいかに危険かお判りいただけるだろう。このデューデリジェンスは、英語のDue(当然の) Diligence(勤勉・精励・努力) を組み合わせた言葉で、直訳すると 『当然の努力』 という意味になる。何もしないで、そのまま買い取って、利益がでることなど絶対にないのだ。

この4つのステップは、現在経営中の有料老人ホーム・サ高住の経営者に勧めている高齢者住宅の経営状態の把握の流れと同じものだ。M&Aは、旧経営者より数倍高いノウハウがなければ成功しない。
それだけに、成功すれば高い利益が得られるのだ。






category: 高齢者住宅 M&Aと事業再生

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