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『こいも』 日々思うあれこれ

あれこれ日々思うこと、考えることを、書いています。

 

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有料老人ホーム・高齢者住宅の M&A の未来 


前回まで、数回にわたって、有料老人ホーム・サ高住など高齢者住宅のM&Aの難しさと、失敗ケースについて述べてきた。厳しいかもしれないが、特殊な事業性、特殊なリスクを持つ事業を、よくわからないままに、『みんなが良いと言っているから・・』 という風潮に流されて買収することは、経営者として考え直した方がよい。普通に考えて、今まで経営してきた人が手放すものを、経営ノウハウがない人がそのまま買って経営できるはずがない。

では、『高齢者住宅のM&Aは事業として不適格なものか・』 と言えば、そうではない。
企業買収を中心とした高齢者住宅のM&Aは、高齢者住宅業界に不可欠だと考えている。
活発なM&Aを進めていかなければならない理由は、3つある。

① 入居者保護
色々なところで述べているが、この数年のうちに、入居一時金の長期入居リスクが顕在化し、有料老人ホームの多くが倒産する可能性が高いと考えている。今回の入居一時金の規制強化が、収支悪化に拍車をかけることなるだろう。
サ高住が抱える経営課題は、有料老人ホームより深刻だ。補助金だ、税制優遇だと勢い込んで開設したものの、自立高齢者・要支援高齢者を対象としたサ高住には入居者が集まっていない。サ高住として優遇制度を受けたものは、10年間はサ高住として登録する必要があるとされているが、半分は10年持たないと見ている。また、【2012年 介護報酬改定と高齢者住宅経営 ①】 で述べたように、高齢者住宅に対する区分支給限度額方式は、早ければ次の報酬改定で見直しが行われるだろう。そうすると、サ高住のビジネスモデルそのものが崩壊することになる。

安易に参入したレベルの低い有料老人ホーム・高齢者住宅が倒産するのは仕方ない。
しかし、不安定な経営、不透明なサービスが行われると、その入居者の生活そのものが崩壊することになる。倒産・事業閉鎖となれば、入居者は生活基盤を失い行き場がなくなるため、その家族も巻き込んで大混乱することになる。要介護高齢者の場合、サービスのストップは生命に関わるため、地域の特養ホーム・老健施設に入所してもらうしかなく、その地域の介護福祉保健ネットワークにまで影響する。高齢者住宅の倒産・事業閉鎖は、ホームヘルパーやデイサービスの倒産とは、被害の大きさが違う。

入居者・家族・スタッフの生活を守るためには事業閉鎖は避けなければならない。
経営ノウハウを持つ新しい経営者への事業譲渡を通じて、事業継続・入居者保護を図る必要がある。

② 責任の明確化
二つ目は、経営責任の明確化だ。
高齢者住宅の経営が悪化し、事業継続が困難になった場合、経営が悪化した、計画が破綻した原因を明らかにし、その経営責任を明確にする必要がある。そして、その不利益をそれぞれの責任や役割に応じて分担しなければならない。
責任を負うべき関係者は四人いる。一人は、経営責任を負う経営者。二人目は貸し手責任の銀行。三人目は入居者・家族の選択責任。そして、最後は、監督責任を負っている行政だ。

しかし、実際に経営悪化の被害をもっとも大きく受けるのは、もっとも責任が小さい入居者・家族だ。杜撰な事業計画や経営の失敗をあいまいなままに、値上げ・サービスカットという形で入居者に転嫁し、経営陣・銀行は全く責任を負わない、行政も 『民民契約だ』 と適切に指導しないというケースが多い。
確かに、高齢者住宅は民間の営利事業であり、倒産や経営悪化の可能性があることは家族・入居者は理解しなけばならないし、一定の負担を負うべきだろう。しかし、高齢者住宅という事業の特殊性、社会性・公益性を考えると、行き場のない、最も責任の軽い入居者・家族だけに大きな負担が負わされるというのは、社会正義に反し、高齢者住宅への社会的信頼、健全育成を阻害する要因となる。

それぞれの関係者の責任を明確にせずに、事業を再生することはできない。
事業再生を目的としたM&Aを通じて、それぞれの責任を明確にする必要がある。

③ 長期安定的な事業の再生
三点目は、長期安定的な事業の再生だ。
高齢者住宅事業の経営悪化の多くは、事業計画自体が破たんしている。値上げやサービスカット、返済猶予等で、表面的に収支は改善されたとしても、大半のものは再びどこかでサービス・収支ともに行き詰ることになる。

バリアフリーの建物に訪問介護サービスを併設すれば、簡単にサ高住として開設できるが、それだけで高齢者の生活を支える安定的なサービスが提供できるわけではない。同様に要介護高齢者の重度化に対応できない介護付有料老人ホームも多い。国交省や厚労省の不安定な制度設計の上に計画された、杜撰で長期安定的な視点の欠落した事業計画が多すぎる。

多くの高齢者住宅で、この数年のうちに事業計画・商品設計を抜本的に見直さなけばならない。
事業再生計画の策定には、高い経営ノウハウと各関係者との調整力が求められる。M&Aによる事業譲渡を起点として、責任を明確にして契約関係をリセットし、事業継続のために事業計画・商品設計を見直す必要があるのだ。


以上、高齢者住宅のM&Aの必要性について、社会的役割の視点から3つのポイントを挙げた。
しかし、それだけではない。もう一つ推進に必要なのはビジネスの視点だ。
M&Aによって事業を再生することができれば、高い利益を生むことができる。今後、間もなく訪れる有料老人ホーム・高齢者住宅の大倒産時代において、M&A・事業再生は大きなビジネスチャンスであることは間違いない。地域の介護サービス事業所、医療機関に対して再譲渡を前提した事業再生M&Aビジネスも活発化していくだろう。

高齢者住宅M&Aは、その量・内容ともに、これからスタートすると言っても過言ではない。





category: 高齢者住宅 M&Aと事業再生

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