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『こいも』 日々思うあれこれ

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有料老人ホーム・高齢者住宅 M&A 失敗の原因 ② 


団塊世代の後期高齢化、独居高齢者の増加、家族介護機能の低下、介護保険施設の限界など、複合的な要因にって、高齢者住宅の需要、社会的ニーズが高くなることは間違いない。しかし、高齢者住宅と銘打てば、必ず成功するというわけではない。

これは、新規開設だけではなく、M&Aについても同じことが言える。
介護付だから、サ高住だから・・という制度類型ではなく、その商品の将来性・リスクを適正に評価できなければ、事業の譲渡を受けても、長期安定的に継続することはできない。

現在は、総量規制が行われている介護付有料老人ホーム事業への参入を中心にM&Aが行われているが、最近聞こえてくる話は、これまでのものと少し雰囲気が違っている。
それは、簡単に言えば、
 『事業参入・拡大のために、優良な安定した高齢者住宅事業を購入する』 から、
 『経営が安定しない高齢者住宅事業を安く購入し、立て直す』 に移っているということ。
正確には、移行しつつある、増えている・・と言った方が良いだろうか。

M&Aの醍醐味、利益の大きさという側面でみると、後者に軍配が上がる。
介護付有料老人ホームだ、いやこれからはサ高住の時代だと、過剰な期待から盲目的に高齢者住宅事業に参入した事業者の多くは、入居者不足、スタッフ離職、トラブル・事故など様々な経営課題に直面している。今後は、入居一時金の長期入居リスク、少子化によるスタッフ不足など、更に経営環境が厳しくなる中で、収支悪化、倒産事業者が増えることは間違いない。

経営ノウハウがなく、安定したサービス提供ができていない高齢者住宅を低価格で購入し、長期安定的な視点から再生ができれば、残された入居者や働くスタッフが救済できるだけでなく、事業としても大きな利益を見込むことができる。
  『近隣に、サ高住がたくさんできているが、ほとんど入居者が集まっていない』
  『いま参入するべきではなく、経営悪化したサ高住を安く購入する方が良い』
という話がでてくることは、現状の高齢者住宅業界を見ると、自然な流れだと言ってよいだろう。

しかし、それはそう単純で簡単なことではない。
このような、経営が安定しない高齢者住宅のM&Aに潜む課題、リスクを、サ高住を例に整理してみる。

① 価格・サービスなどの商品性を変更できない
最大の課題は、事業の性格上、商品内容を変更することが難しいということだ。
大半のサ高住において、入居者が集まらない原因は商品性にある。入居者・家族から見て、そのサービス内容、価格に魅力がないのだ。
しかし、現在のサービス内容・価格で入居している高齢者がいる場合、収支が悪化しているからと言って、その同意を得ずに事業者の都合だけで、簡単に値上げやサービスカットをすることはできない。値上げによって支払えない人は退居を余儀なくされ、サービスがなくなると生活できない人がでてくるからだ。借家権の問題があるため、経営悪化、事業者変更を理由に退居を求めることもできない。

ラーメン屋の事業譲渡と比較してみよう。
高くて、不味くて全く人気のないラーメン屋があり閉店するという情報を聞いた。ラーメン屋の新規出店にあたって厨房設備などそのまま使えて開設資金が安く済むからと購入した。当然、スープの味もメニューも、全く違うものにするだろう。
しかし、高齢者住宅の場合は、数少ない常連客のために、値段も味も変えることができない。経営者が変更になっても、商品内容の変更ができず、新しいお客・入居者が開拓できなければ事業を継続することは不可能だ。

また、商品性を変えられないということは、リスクが管理できないということでもある。
何度も述べているように、高齢者住宅の長期安定経営の根幹は、リスクマネジメントにある。高住経ネットで、経営リスク、業務リスクの二つの視点から、リスクの予防・対応・管理実務について検討を行っている。経営リスクは、入居者募集リスクのほか、スタッフ募集リスク、人件費高騰リスク、制度変更リスク、修繕リスクなど収支・経営に直接影響するリスク、業務リスクは、転倒骨折などの介護事故、サービスに対する苦情、直中毒・感染症の蔓延、自然災害・火災など、サービス提供上発生するリスクだ。
これらのリスクを、適正に予防・対応・管理できれば、必ず高齢者住宅事業は成功する。

しかし、そのリスクの大半は、商品性に起因している。
スタッフが集まらない原因は労働条件にあり、給与を上げようとすれば月額費用にかかわってくる。介護事故やトラブルの原因も、建物設備設計、介護システムなど、サービス内容・価格設定と無関係ではない。その他、要介護度の重度化対応、医療ニーズの高い高齢者への対応、制度変更リスクなど、経営環境の変化に対するリスク管理も必要になってくるが、これも商品性とは切っても切り離せない。

仮に、新しい経営者に卓越した営業力があり、入居者を集めることができたとしても、これら経営リスク・業務リスクを適切に予防・管理できなければ、サービス提供上のトラブルや事故が増加し、スタッフ離職率が高くなり、長期安定的に経営することはできないのだ。

② 生活支援サービスの固定費比率が高い
もう一つ、高齢者住宅の特殊性として理解しなければならないのは、生活支援サービスの固定費比率が高いということだ。

商品性の変更は難しいと書いたが、値上げではなく値下げであれば可能だ。
経験のない有料老人ホーム・サ高住事業者がバンザイして経営が継続できない。残った、高齢者・要介護高齢者・スタッフは途方に暮れており、銀行や市町村の担当者から懇願されて、格安の条件で事業の譲渡を受けるとする。新規開設時には土地建物で3億円かかったものが、1.5億円の値段で譲渡されれば、単純に半分とは言えないまでも、家賃を低く抑えることができる。人気のない学生マンションで、それまで家賃が8万円だったものが5万円に値下げされれば、価格競争力が高まり、新しい学生が入ってくるかもしれない。

しかし、高齢者住宅の場合は、そう単純ではない。
有料老人ホーム、サ高住、シニアマンションなどのその制度・類型にかかわらず、高齢者住宅の商品内容を一言でいえば、生活支援サービス付高齢者専用住宅だ。高齢者住宅に入居を希望する高齢者・家族は、要介護状態になっても安心して生活できる 『生活支援サービス』 を求めている。介護看護サービス、食事サービス、緊急対応サービス、相談サービスなど、要介護状態になれば、収支全体に占める比率は高くなる。

家賃以外のサービスを考えると、一般の賃貸住宅では管理費が1万円くらいだろうか。
これに対して、要介護高齢者を対象とした高齢者住宅の場合、食事サービスが6万円、介護看護サービスに25万円、相談スタッフや宿直などのスタッフを含めた管理費に6万円と仮定すると、合わせて37万円となる。家賃よりも生活支援サービスの費用が何倍も必要になるのだ。

また、この生活サービス費の大半は、人件費・固定費だ。介護看護スタッフだけでなく、相談スタッフも宿直スタッフも、事務管理スタッフも、入居者数の多寡に関わらず、最低限の人数は必ず必要になる。一般の賃貸住宅と違い、住宅サービスの購入費用が抑えられたとしても、それ以上に生活支援サービス費に大きなコストが必要となる。
更に、この生活支援サービス費のコストは、建物設備の価格ではなく、使いやすさによって大きく変わっていくることがわかっているが、建物を改装しても生活動線・介護動線が変更できるわけではない。

繰り返しになるが、高齢者住宅経営の基礎は、リスクマネジメントにある。
M&Aにおいて、事業の特殊性や全体の収支の流れ、全体のリスクを見ずにメリットだけに目を奪われてしまうために、大きな失敗をすることになるのだ。





category: 高齢者住宅 M&Aと事業再生

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