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『こいも』 日々思うあれこれ

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有料老人ホーム・高齢者住宅 M&A  失敗の原因 ① 


私は、バブル経済絶頂期に、大手都市銀行に勤めていた。
高齢者住宅の開発競争は、バブル期の土地神話と同じ匂いがしており、健全なものだとは思えない。
介護付だ、サ高住だ、優遇施策だと、われ先に多くの事業者が参入しているが、高齢者住宅の需要が高まるということと、事業性が高いということは同じではない。事業性の有無は、個々の商品性によって左右されることは言うまでもない。

M&A成功のポイントは、その商品に事業性があるか否かを見極めることができるかどうか・・だ。
これをデューデリジェンスと言う。投資用不動産や企業買収を行うときに、その資産価値や事業の将来性、収益力、リスクを判断するために行う調査だ。その事業価値を適正に判断できれば、有利に交渉を進めることができる。少なくとも、高い買い物をして、リスクを背負うことはない。

しかし、この事業性・収益性・将来性の判断はそう簡単ではない。
高齢者住宅事業は、実績値に乏しく、事業ノウハウが確立されていないことに加え、新規参入・事業拡大が目的となると、将来性を課題に見積り、リスクを過小評価する調査・資産となる。

介護付有料老人ホームを例に挙げてみよう。
介護付有料老人ホームの現在の収益、資産は、決算書を見ればわかる。
しかし、『収益性』 『資産価値』 は、決算書を見てもわからない。

運営開始後4年を過ぎた有料老人ホームがあるとしよう。償却期間が6年、入居一時金が1000万円、入居率が70%だ。決算書を見ると、開設以来4年連続で利益が出ておりキャッシャフローも潤沢だ。入居率も伸びる可能性がある。『経営が安定しているホーム』『将来性の高いホーム』として、高額で取引される『優良経営の老人ホーム』としてM&Aの対象になるのかもしれない。

しかし、この時点で、長期的な収益性を判断するのは早すぎる。
入居一時金と利用権⑥ で述べたように、終身利用を前提として入居一時金を徴収している有料老人ホームの場合、開設から数年間の利益は経営安定の指標にはならない。この入居一時金の長期入居リスクは、この時点では全く収支上に現れていないからだ。

その経営実態が数字として表面に現れてくるのは、開設から最初の償却期間を超えた7年目、8年目以降だ。当初の予定よりも償却期間を超えて長期入居となる入居者が多い場合、その入居者の利用権収入(家賃相当)はゼロになるため、収支は一気に悪化する。それは一時的なものではなく、収支上の構造的な欠陥であり、業績の回復は簡単ではない。運営すればするほど、赤字の幅が拡大していくことになる。『有料老人ホームの損益分岐は80%程度』『80%を超えれば経営が安定する』等という人もいるが、入居率が100%であっても倒産する可能性はあるのだ。

入居一時金方式をとっている有料老人ホームの場合、長期入居リスクを適正に判断できなければ、『将来性・収益性の高い優良な老人ホームだ』 と、高いお金を出して残ったリスクだけを買うことになる。当然、このような事業者からノウハウなど得られるはずもない。最悪の状況だと言ってよいが、有料老人ホームのM&Aでは、このような失敗ケースはとても多い。

もう一つは、資産の分析だ。
高齢者住宅のM&Aは、その事業の譲渡であり事業収益性のみが評価されるべきだが、その性格上、不動産の譲渡というイメージが強くなる。その結果、その不動産価値に判断が左右されやすい。

不動産の評価方法には、①原価法、②取引事例比較法、③収益還元法がある。不動産としてみても、収益不動産なのだから、③の収益還元法、簡単に言えば、どれだけの利益を生むのかという収益性だけを元に判断すべきなのだが、どうしても、原価法、つまり決算書に乗っている対象不動産の再調達原価を元に計算してしまうことになる。

例えば、市街地から少し離れた場所にあるワンルームタイプの小さな介護付有料老人ホームと、市内の一等地に立つ富裕層を対象とした超高額な有料老人ホーム。開設にあたって投下された資金は、前者は5億円、後者は50億円となれば、その金額に引っ張られてしまうということだ。

しかし、その不動産が投下資本に見合うだけの利益を生むとは限らない。
特に、有料老人ホームは住宅事業だ。その建物・設備の特殊性を考えると、一般の住宅や商業ビルなどの他の物件に転用することはできない。また、入居者にとっては生活の根幹であるため、事業者の都合だけで 『利益がでないので出て行ってください』 と言うこともできない。

更に、全く利益が出なくても、土地・建物に対する高額な固定資産税を支払わなければならない。その物件の資産価値として残るのは、現在の入居者・家族それぞれと話し合いをして、違約金や保証金を支払い、その上で、その上物の建物・設備を解体する費用を支払って残る土地の価値だけだ。

どれだけ立派な建物であっても、どれだけ建設に費用がかけられていたとしても、収益性の乏しい有料老人ホーム・高齢者住宅の資産価値は、マイナスだ。このことを理解せずにM&Aを行うと、莫大な負債を、高い金額を出して買うことになるのだ。笑い話ではなく、実際にはこのケースも多い。

もう一度言おう。
介護付有料老人ホームの現在の収益、資産は、決算書を見ればわかる。
しかし、『収益性』 『資産の価値』 は、決算書を見てもわからない。
なまじ決算書を見て判断するから、高齢者住宅のM&Aは、大失敗しているのだ。




category: 高齢者住宅 M&Aと事業再生

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