FC2ブログ

『こいも』 日々思うあれこれ

あれこれ日々思うこと、考えることを、書いています。

 

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

category: スポンサー広告

TB: --    CM: --

高齢者住宅 経営ノウハウ について 


先日、何とか日経ヘルスケアの連載の最終回を書き終えた。連載中には、義母の急死、認知症の義父の介護など大きな変化があったものの、何とか無事に終えることができ、ほっとしている。
一年に渡った今回の連載のタイトルは、『高齢者住宅 リスクマネジメント講座』。
私がこの連載を通じて問いたかったのは、『高齢者住宅の経営ノウハウ・経営実務』 だ。

現在、届け出制度の有料老人ホームから、登録だけで開設できる高齢者専用賃貸住宅、補助金や優遇措置の受けられるサービス付高齢者向け住宅と、『高齢者住宅の数を増やす』という国の指針に沿う形で、高齢者住宅の開設ラッシュが続いている。

資金と土地があれば、有料老人ホーム、サ高住を開設することは簡単だが、経営環境が大きく変化する中で、長期安定的に経営を続けることはそう容易ではない。実際、『需要が高まる』『超高齢社会に不可欠な事業』と、高齢者住宅事業に参入したものの、入居者不足、スタッフ不足、事故・トラブルの増加によって、経営が行き詰る事業者が増えている。高齢者住宅の失敗は、事業者の金銭的な破たんだけでなく、信頼して入居された高齢者・家族の生活を根底から揺るがすことになる。残念ながら、この数年のうちに、倒産事業者の急増、事故やクレームの増加によって、高齢者住宅を取り巻くトラブルが大きな社会問題となることは避けられないだろう。

トラブルや経営悪化が表面化する中で、今、少しずつだが、『開設ありき』から、『長期安定経営』 に業界の風が変わりつつある。 実際、開設相談だけでなく、高齢者住宅の経営実務・経営ノウハウについての質問・相談が増えている。ただ、その内容を聞いていると、経営者、開設予定者だけでなく経営コンサルタントと呼ばれる人の中にも、『経営ノウハウとは何か』 を十分に理解していない人が多いと感じる。
私が高齢者住宅の経営ノウハウについて思うことを書きたい。

【経験と経営ノウハウは基本的に違うもの】
誤解のひとつは、経営ノウハウは、開設後に、少しずつ構築していくものではないということだ。
特定施設に続き、サ高住の登録も将来的に規制されるかのような政府高官の言動が、早い者勝ちといったイメージを植えつけ高齢者住宅の開設ラッシュを招いている。そのため、とりあえず開設して、経営ノウハウは、少しずつ構築していけばよい、経営に少しずつ慣れていけばよいと考えている事業者は少なくない。

しかし、それは根本的に間違っている。
高齢者住宅の成否は事業計画・商品設計の段階で決まるからだ。
高齢者住宅は、事業の性格上、その商品性(価格・サービス内容)を途中で変更することができない。全く魅力のない商品、入居者が入らない商品を、経営ノウハウ、営業ノウハウだけで売ることは不可能だ。不味くて高いラーメン屋の味と価格を変えないままで、流行らせることはできないだろう。それと同じだ。
更に、重度化対応リスク、入居一時金の長期入居リスク、制度変更リスクも経営に大きく関わってくる。同様に、これらのリスクも、開設後の経営ノウハウだけで解決することはできまい。

重度化対応ができなければ、事故やトラブルが増加し、スタッフの離職率も高まる。有料老人ホームの入居一時金経営で、想定よりも長期入居となる高齢者が増えれば、入居率が高くても収支は悪化する。高齢者住宅に対する区分支給限度額方式の締め付けが行われれば、現在のサ高住のビジネスモデルは崩壊する。介護サービスが不安定なサ高住で、月20万円以上の支払いを求められれば、誰も入らないだろう。
事業計画・商品性の段階で100%成功するとは言えないが、100%失敗することはわかる。
サ高住や介護付有料老人ホームの経営改善の依頼を受けることがあるが、残念ながら、経営ノウハウだけでできることには限界があるのだ。

高齢者住宅はまだ新しい事業であり、そのプロの経営者になるためには、様々なトラブル対応、事故対応など経営実務に対する経験が必要だ。しかし、それは経営ノウハウではない。経営実務・経営ノウハウは、事業計画の段階から商品性検討と一体的に理解し、蓄積しておかなければならないものだ。


【経営ノウハウとマニュアル・手順は別のもの】
もう一つ、誤解が多いのが、経営ノウハウは経営手順やマニュアルではないということだ。
他事業所で、利用されている入居申込書や入居契約書、労務管理書類などを集めてノウハウだと勘違いしている人が多いが、それはノウハウでも何でもなく、この時代、パソコンをたたけば無料で集められる単なる高齢者住宅に関する情報でしかない。

同様に、入居者募集、入居者説明等の業務マニュアルも経営ノウハウではなく単なる手順書だ。 
『お客様が来られたら大きな声で いらっしゃいませ と言いましょう』 『禁煙席か喫煙席が聞いて、ご案内しましょう』 『お水を出しましょう』 『毎日閉店後には、お客様の数と売り上げを計算しましょう』 というものでしかない。それを経営ノウハウだとは誰も言わないし、それだけでファミレスや居酒屋が経営できるわけではないだろう。

実際、これらノウハウと言われているような手順書の中には、これまでの特養ホーム等の福祉施設のものを流用したようなものも少なくない。しかし、特養ホームと介護付有料老人ホームはサービス的には同じように見えても、経営管理という視点から見れば全く違う。社会福祉施策として絶対に倒産しない福祉施設のノウハウを流用して、介護付有料老人ホームが経営できるはずがない。



では、高齢者住宅の経営ノウハウとは何か。
それは、リスクマネジメントだ。

高齢者住宅の安定経営を阻害する要因・リスクは、経営リスクと業務リスクの大きく二つに分けられる。経営リスクは、入居者不足、人件費の高騰、入居一時金の長期入居リスク、制度報酬変更リスクなど、経営収支の悪化に直結するリスクを言い、業務リスクは介護事故、トラブル、クレーム、感染症、食中毒、災害などサービス提供上発生するリスクを総称している。

高齢者住宅経営とは、この二つのリスクをどのように予防、対応、管理していくのかという、リスクマネジメントに集約される。つまり、高齢者住宅の経営ノウハウとは、経営リスクを予防・対応・管理する経営管理ノウハウと、業務上のリスクの発生を予防・対応・管理するサービス管理ノウハウなのだ。


経営ノウハウとは


業務マニュアルや業務手順の検討が不要だと言っているわけではない。

ただそれは、右手を挙げて、左手挙げてというものではなく、業務上発生しうるリスクを整理し、その発生予防、拡大予防のために何をすべきか・・という視点で策定されなければならない。マニュアルの背景にある業務リスク、業務リスクマネジメントを理解していなければ、それはノウハウではない。
また、そのノウハウは、それぞれの事業者が真剣に考えて、勉強して身につくものだ。他のマニュアルや経営・サービス管理書類をもらって経営しようとしても、なぜそうすべきかわからなければ、うまくいくはずがない。

高齢者住宅は、これまて量的拡大、開設ありきで増加してきたが、トラブルや経営悪化が急増する中で、『高齢者住宅経営はどうあるべきか』 『高齢者住宅経営実務、経営ノウハウとは何か』 が問われる時代になってきている。今回の日経ヘルスケアの連載で書いたものは、事業リスク(経営リスク・業務リスク) のうちの業務リスクマネジメントについて、またその基礎的な考え方について述べたものだ。

紙面上の講座であり、文字数にも限界があるため、基礎的な考え方を述べたに過ぎない。
ただ、それを読んでいただければ、少なくとも、高齢者住宅経営とは何か、高齢者住宅経営のノウハウ、経営実務とは何かを理解いただけるのではないかと思う。

ご購読いただいていない方でも、ネットで記事単位の購入ができる。
連載の最終回は、10月号に掲載される。

是非、お読みいただければと思う。





category: 高住経ネット&Jobs

TB: 0    CM: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://coimo01.blog.fc2.com/tb.php/142-9f56cb72
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

カテゴリ

最新記事

最新コメント

リンク

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。