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『こいも』 日々思うあれこれ

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こんな高齢者住宅をつくってはいけない⑤ ~建物設備基準~ 



夏バテなのか、じいさん(義父)の介護疲れなのか、体調不良で珍しく寝込んでおりました。
歳をとりたくないものですなぁ・・・・  皆様もご自愛を・・・
一週間ぶりの更新です。




有料老人ホームを作るためには、設置運営標準指導指針に基づき事前協議や届け出が必要になる。
かなり細かい指針が定められており、面倒だと感じる人は多いだろう。
そのため、大した基準もなく、登録だけで開設できるサ高住に流れる人は多いのだが・・・・

実際は、サ高住でも、新しく作る場合は、一般の集合住宅として開発や建設課との協議は必要になる。
ある人が、要介護高齢者を対象としたサ高住を建設しようと、ある市の建設課に訪問したところ、
『サ高住は集合住宅ですから、当市では入居者数分の駐車場整備が必要です。有料老人ホームは福祉施設なので必要ありませんが・・・』 と言われたそうな。『自動車などとても運転できない要介護高齢者専用なのですが・・』と言っても、『そんなことは関係ない』 と相手にもしてもらえなかったとか。
さすがお役所仕事・・と、申し訳ないけれど、話を聞いて思わず笑ってしまった・・・

同じ敷地に全く同じ建物を建てる場合でも、厚労省の有料老人ホームと国交省のサ高住という2つの制度間で開設基準は違い、更にそれぞれの市町村で対応が違ってくる。このような混乱は、『百害あって一利なし』 であり、本当にふざけた話だとは思うものの、法律なので従わなければならない。

そもそも、この高齢者住宅の2つの制度は何なのか・・・
それは、示されている制度基準とは何かを考えればわかる。

『有料老人ホーム標準設置運営指導指針』 は、有料老人ホーム開設・運営のポイントではなく、国が、都道府県・市町村に、『有料老人ホームを指導するときには、こんなポイントをチェックしてください』 と示した資料でしかない。飲食店に対して保健所が指導するときの指針・ポイントと同じものだ。

サ高住はもっと杜撰な制度だ。高専賃の制度を作ったときに、複数人部屋に入居者を押し込めたり、ひどいところは押入れの中に高齢者を寝かせているところもあった。さすがにそれは酷いだろう・・ということで、一般住宅としても違法な貧困ビジネスを切り捨てるための基準でしかない。『賞味期限を過ぎたものはお客に提供してはいけません』 と言うレベルの話だ。

『有料老人ホームの方が高齢者住宅として基準は高い』ということは事実だけれど、有料老人ホームの基準に合致すれば、優良な高齢者住宅ができるというものではない。サ高住に至っては、集合住宅として不適切ではないという基準でしかないのだ。

つまり、有料老人ホームやサ高住の制度基準に合致していれば、高齢者住宅として開設できる。
しかし、有料老人ホーム・サ高住の制度基準をクリアしているから、長期安定的に経営できる訳ではない。
もう一段踏み込んで言えば、制度基準ギリギリ程度の高齢者住宅では、開設できても経営できないのだ。



これは、高齢者住宅の作り方、建物設計に大きく関わってくる命題だ。
学生マンションや、商業ビルを作る場合、レンタブル比率が事業の成否、利益に大きく関係している。
レンタブル比率は、延べ床面積の内、実際に貸し出せる比率のことを言う。

例えば、500㎡の土地で容積率が300%とすれば、単純計算すれば延床が1500㎡の建物が建てられる。
その建築可能な面積の内で、どれだけたくさんの部屋数を取れるか・・・がマンション設計では重要であり、マンション設計者の腕の見せ所だ。ワンルームタイプの学生マンションであれば、40室か35室しか取れないかで採算は大きく変わってくる。一部屋、25㎡か30㎡とれるかで、賃料設定は変わってくる。
つまり、廊下やエレベーターなどの共用部を除いて、実質的に貸せるのは何%くらいになるのかをレンタブル比率と言い、これが高ければ高いほど、一般的な賃貸物件としては収益性が高いと言える。

消防法や建築基準法の採光や空調などの基準をクリアーして、レンタブル比率を上げる、たくさんの部屋をつくるというのは、一つの考え方としては間違っていない。だから、サ高住は集合住宅なので、廊下や階段などの一部が容積率に算定しなくてよい・・といったメリットが大きく語られているのだ。

建物設備基準の違い



しかし、要介護高齢者住宅の設計は、その視点を変えなければならない。
高齢者住宅は、住宅サービスと生活支援サービスの複合サービスだ。
要介護高齢者住宅の場合は、生活支援サービスの割合、特に介護サービスの割合が大きくなるため、レンタブル比率を基礎とした住宅サービスの効率性ではなく、介護サービスの効率性を基点に設計をしないと、生活支援サービスのコストが大きく上がることになるのだ。

高齢者住宅は、要介護高齢者対応住宅でないと、経営できない。
介護の効率性の視点から、要介護高齢者住宅としては不適格だと思うもの 2つの例をあげる。

一つは、居室フロアーと食堂フロアーが別になっているもの。
フロアーが分かれているということは、一日3回、移動にエレベーターが必要になる。
重度要介護高齢者、車椅子の高齢者が増えてくると、その移動介助だけに多くの時間と、スタッフの手間がかかることになる。

二つ目は、ユニット単位の定員が少ないもの。
要介護高齢者住宅はユニットケアを取り入れるところが多いが、1ユニットの定員を何名にするのかによって、介護の効率性は大きく変わってくる。特養ホームの1ユニット定員は10名以下となっているが、これは介護の効率性、介護動線を考えると最悪の選択だといって良い。

これは、あくまでも一例であり、居室設備、共用設備、浴室脱衣室など、すべてに関係してくる。
このように住宅サービスの効率性だけを追求すると、その何倍もの介護コストがかかってくる。高齢者住宅は、『住宅の最低基準』 ではなく、生活支援サービスを基準に考えないと、商品として成立しないのた。
可能なのは、コストを度外視した、富裕層を対象とした超高額な高齢者住宅だけだ。


これは、高齢者住宅は土地で決まるということでもある。
一般の住宅設計では、その土地の立地条件の中で最も適したマンション・商業ビルをつくろうと考える。
マンションや商業ビルに適しない土地もあるが、その原因はマーケティング・立地環境だ。
分譲マンションに適さなければ、学生マンション、女性専用マンションなど、選択肢はある。

しかし、高齢者住宅は、要介護高齢者対応の住宅しかない。
立地環境だけでなく、土地の形状、容積率、建蔽率などから、どのような建物が建てられるか・・という段階で、成功するか否かは、決まってくるということだ。

サ高住や有料老人ホームの建設設備基準は守らなければならない。
しかし、商品・事業性の視点から見た場合、それ自体に何の意味もない。
高齢者住宅の計画において、その建物設備基準を何とかクリアーしようと知恵を絞らなければならない時点で、成功する可能性は低いといっても良い。



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