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『こいも』 日々思うあれこれ

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こんな高齢者住宅を作ってはいけない③ ~特定施設の混合型~ 


現在、多くの市町村で、特定施設入居者生活介護の総量規制をしている。
制度上は、要介護高齢者のみを対象とする 『介護専用型』 と、要介護高齢者だけでなく、要支援・自立高齢者も対象とする 『混合型』 に分かれているが、実際には、『混合型』 のみだと言われる市町村が多い。

官民ともに、『ターゲットを広げたほうが入居者募集がしやすい』 『多くの高齢者が対象となるように・・』 と考えるのかもしれないが、長期安定経営・リスクマネジメントの視点から見れば、この『特定施設』 の 『混合型』 というのは、全く実務を知らない人が作ったとしか思えない、ありえない選択だ。

大きく分けると3つの問題がある。

一つは、自立高齢者と要介護高齢者とは、基本的に生活上のニーズが違うということ。
自立高齢者も重度要介護高齢者もターゲットにすれば、対象者数は増えるが、それだけ対応すべきニーズが分裂し、複雑化するということだ。前回も述べたが、それは、『大学生も小学生も一緒に勉強できる学校をつくる』というのと同じだ。多様なニーズを満たすためには、それに対応できる多様なサービスが必要で、非常に非効率なものとなる。入居一時金が数千万円、月額費用が30万円といった超高額な高齢者住宅でなければ、対応できない。

2点目は、重度化割合の増加に対応できないということだ。
要介護高齢者だけでなく、自立高齢者も対象とするため、『混合型特定施設』 の介護看護スタッフ配置は、基準の【3:1配置】 に近いものとなる。混合型で、【2:1配置】【1.5:1配置】と上乗せ配置とするのであれば、サービス的にも経営的にも自立・要支援高齢者は対象外となる。自立高齢者・要支援高齢者には不要な、上乗せ介護費用を誰が負担するのか・・という問題がでてくるからだ。

この【3:1配置】 は、特養ホームの基準と同じ介護看護スタッフ配置だが、この程度のスタッフでは、要介護3以上の重度要介護高齢者の割合が増えてきたときには、対応できなくなることはわかっている。特に、介護の効率性が低下する全室個室の特養ホームでは、その2倍近い【1.5~1.8:1配置】 という配置がされている。全室個室で【3:1配置】 では、重度要介護高齢者の増加に全く対応できないのだ。

介護付有料老人ホームは、その名の通り『介護サービスが受けられる有料老人ホーム』 というイメージで、介護の不安のために入居するのだが、この混合型の指定基準の特定施設は、重度要介護状態になると生活できない介護付有料老人ホームという、とんでもない代物なのだ。更に、重度要介護高齢者が増えてくれば、スタッフコールは鳴り続け、介護スタッフは忙しさで走り回り、疲弊していく。事故やトラブルが増加し、スタッフのモラール(士気)は低下し、大量離職につながる。このような介護システムでは、実質的に経営・サービス提供できなくなる。

3点目は、介護保険財政への影響だ。
実際の入居者を考えてみると、混合型の介護付有料老人ホームには、自立高齢者は入居を希望しないし、介護保険収入が低下するために、経営的にも入居させられない。また、述べたように重度要介護高齢者も、多くは受け入れられない。そうなると、結局は要介護1~2の軽度要介護高齢者が中心となる。

しかし、下の表を見ればわかるように、特定施設に要介護1・2の軽度要介護高齢者が多いことが、介護保険財政の効率運用の側面からみると、最も非効率で問題が大きい。
自宅で生活する要介護1・2の要介護高齢者は、それぞれ7231単位、9859単位程度しか介護報酬を使用していない。しかし、介護付有料老人ホームに入居すると、17130単位、19230単位となる。その差は一月一人あたり10万円となる。つまり、『特定施設の総量規制は財政悪化の一因』 と総量規制をしたのに、わざわざ介護保険の財政悪化のモデルとなるような高齢者住宅を、限定して作らせているのだ。

混合型特定施設の課題



この24時間365日対応の日額包括算定方式は、介護施設同様、重度要介護高齢者に適した介護システムの構築に適した報酬体系だ。更に今後は、介護保険財政の逼迫に伴って、『軽度者外し』が進み、重度化へのリバランスが進むことになる。そうすれば、『混合型の特定施設』という軽度要介護高齢者にしか対応できないような高齢者住宅は、商品としても、制度としても成り立たなくなる。

今でも、市町村の担当者と話をすると・・

   『わが市では、特養ホームの待機者が多いので特養ホームを中心につくります』 
   『特定施設の指定は、今後も、自立高齢者も対象とした混合型しか認めない方針です』

と胸を張っていわれる。
説明しても、『ニーズ優先』などと頓珍漢な対応に終始され、議論が全くかみ合わない。
このような担当者に、市町村の介護行政、財政問題が大きく左右されるのかと思うと、惨憺たる気分にさせられる。

介護サービス事業、高齢者住宅事業は、民間の営利事業でありながら、公的な介護保険が経営の基礎となる他に類例のない特殊な事業だ。また、その失敗は、一つの事業の失敗に止まらず、地域の介護福祉ネットワークにも多大な悪影響を及ぼす。

厚労省も市町村も、目先の利益・補助金確保ではなく、その特殊性を理解し、『長期安定経営』 『長期財政運営』 の視点から、どのような地域介護システムを構築するのか・・どうすれば限られた財政・人材を効率的に運用できるのか、少しでもいいから、真剣に考えて欲しいと切に願う。

混合型の特定施設など、絶対につくってはいけない。


category: こんな高齢者住宅をつくってはいけない

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