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『こいも』 日々思うあれこれ

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『介護事故』 をどのように捉えるのか 



介護事故の事故報告書について3回に渡って述べてきた。
介護事故やトラブルが急増している原因の根幹はどこにあるのだろうか。
それは、やはり事業者・経営者の意識にあるのではないかと考えている。

経営者・管理者と話をすると、介護事故は、『たまたま、運悪く起こった』 と思っている人が多い。
同時に、『身体機能の低下した高齢者・要介護高齢者を対象としているのだから、がんばっても介護事故をゼロにすることはできない』 と考えている。
確かに、高齢者住宅内での、転倒や骨折などの事故をゼロにすることはできない。
そう考える事業者・管理者の思いは、そこで働く他の介護・看護スタッフにも共有されている。

一般論としてはそれでも良いだろう。
しかし、それは 『介護施設・高齢者住宅のプロ』 の視点ではない。
それは、『安全運転をしていても交通事故はゼロにならない』 と言っているのと同じだ。
確かに、相手があることなので、安全運転を心がけていても、自動車に乗っていれば事故のリスクは付きまとう。現在の日本の法律では、自動車の過失が重くなる傾向にある。
ただ、そこで止まってしまえば、『どうすれば安全に運転できるか・・』 『何故、安全運転が必要なのか・・』 を考えなくなる。交通事故のリスクをゼロにすることはできないが、安全運転の車と、安全を検討せずに運転している車、事故が発生する可能性は全く違うし、20年30年毎日運転していれば事故の件数は大きく変わってくる。 当然、事故発生時に負うべき責任も全く違う。

これは、高齢者住宅・介護施設でも同じだ。
高住経ネットでは、高齢者住宅・介護施設の業務改善・コンサルティングの一つとして、実務面から介護事故の予防・削減に取り組んできた。介護事故を検証すると、交通事故と同様に、その大半は、『思いもよらなかった事故』 『全く想定できなかった事故』 ではない。
これまで発生した介護事故を整理する中で、高齢者住宅・介護施設のどの生活場所で、どの介護場面で、何が原因で介護事故が発生しているのかはわかっている。どこで事故が多いのか、死亡など重篤な事故はどこで起こっているのかについても整理されてきている。

つまり、自動車教習所で習う 『見通しの悪い四つ角でのぶつかり事故』 『右折時の自転車巻き込み事故』 などと同じように、高齢者住宅・介護施設でも、どこで事故が発生しやすいのか、何故その事故が起こったのか、それをどうすれば予防できるのかは、その大半は見えてきているのだ。

私たちの介護事故削減プロジェクトは、元々は『建物・設備・介護』の一体検討の中で、どうすれば安全な建物設計ができるか、介護事故の予防から見た設備のあり方という視点からスタートしている。
以前にも述べたが、介護事故の原因は、『介護看護スタッフのミス・知識技術不足』 『入居者の身体機能低下・予期せぬ行動』 『建物設備の不備』 の大きく3つに分類される。大半の事故は、これら一つだけではなく、複合的な原因によって発生していることがわかっている。事故削減には、スタッフ教育の充実やケアマネジメントの見直しを含めた総合的な対応が必要であることは言うまでもないが、建物・設備・備品でどこまで、『介護看護スタッフのミス・知識技術不足』 『入居者の身体機能低下・予期せぬ行動』 がカバーできるのかを検討したのがスタートだ。その結果、事故の多い脱衣室や浴室設計のあり方など、多くの成果が得られている。

しかし、設計は様々な制約があるため100%思い通りなるわけではなく、開設後の高齢者住宅・介護施設には適用できない。全国の道路状況が同じでないように、それぞれの介護施設・高齢者住宅で、『どこで事故が起こるか』 『どのような事故が起こるのか』 は違ってくる。当然、建物設備設計だけで、事故を削減できるわけではない。ただ、その高齢者住宅の脱衣室や浴室で、どのような入浴介助が行われているのを考えれば、そこで、どのような事故の可能性があるのかはわかる。そうすれば、事故リスクを削減するために、どのように介助しなけれぱならないのか、ソフト面からの対策が立て易くなる。

介護事故を予防するためには、まずそれぞれの事業者で、現在の介助方法・入居者の状況、建物設備から、『発生しうる事故を予見する』 という作業が不可欠になる。

例えば、『脱衣室の転倒事故』 の原因を挙げれば、
     ・ 濡れていると滑りやすい床の材質。
     ・ 車椅子から脱衣ベンチ(その逆も)への移乗時の介助ミス(車椅子介助)。
     ・ 湯上り後、のぼせていることによるふらつき(自立歩行者)。
     ・ 着衣時に、腰を上げたことによるふらつき。
     ・ 湯温を確認するために、脱衣中の高齢者から目を離す。
     ・ 忘れ物を取りに行くために、スタッフが脱衣室を離れる。    等・・・・・

いくつもの転倒事故の原因となるケースが挙げられるだろう。
これがわかっていれば、それぞれの事業所で、建物設備のどこを見直せば良いか、安全介助手順、ケアプランなど、脱衣室の転倒を予防するための方策が、いくつも見えてくる。

ただ、それでも転倒事故は発生する。

ここで、出てくるのが、介護事故の事故報告書だ。
これまで、事業所として想定していなかった事故であれば、想定に加えなければならない。
想定できた事故であれば、安全介助手順に問題はなかったのか、スタッフは手順を守っていたか、ケアプランは適切なものだったか、アセスメントからの見直しは必要か、建物設備に劣化はないか・・など、介護事故予防システムのバージョンアップにつながる。

あなたが経営者・管理者・介護主任で、介護事故発生を聞いたとき、『やっちまったか・・』 と思うだろう。
それは、仕方ない。私も当然そう思う。
しかし、そこからどのように行動するのかが、その事業の分かれ道となる。

事故への捉え方



負のイメージだけで対応すると、できるだけ小さく対応しようとして、すべてが後手に回る。
それは、一過性、その場限りの対応となり、その傾向はスタッフにも蔓延する。
『報告書書くのは面倒だし、怪我がなかったしまぁ良いか・・』 と少しずつ隠蔽に近づいていく。

表面的には、事故報告もなく平穏にサービスが提供されているように見えるが、その実、小さなトラブル・事故は多発しており、家族からの不信も蓄積されていく。ある日突然、マグマが爆発したように、裁判や大トラブルが発生することになる。

トラブルや事故が表面化しないので、小さなクレームや意見にも 『変な家族だ、文句ばかり言うのであれば家で見れば・・』 という勘違いのスタッフが増えていく。その雰囲気が嫌になる優秀スタッフ離職し、手抜き・隠蔽が当然になっていく。 そのサービス軽視・ダラダラ業務が行き着く先は、入居者虐待だ。

逆に、小さな事故やトラブル・クレームをサービス向上の種として認識できれば、積極的・迅速に対応ができるようになる。小さな情報でもスタッフが共有し、上司に相談するという雰囲気ができる。そうなれば、トラブル・事故の絶対数が減少し、家族からも、クレームではなく建設的な意見が増えていく。
スタッフも家族も安心して、介護・生活することができるようになる。


事故対応は、勇気を振り絞ってやれ・・と行っているのではない。
決められた業務を、誠意をもって淡々と、しっかりやればよいのだ。

リスクマネジメントの強化は、民間の高齢者住宅にとっては、大きなセールポイントにもなる。
事故やトラブル・クレームをどう捉えるのかで、事業の成否が決まるといっても過言ではない。




介護事故・介護事故報告書の書き方については、
『高住経ネット 介護看護スタッフ支援コラム』 の中で、詳しく書いています。
よろしければご覧ください。






【関連コラム】
     『介護事故』をどのように捉えるのか 
     介護事故 事故報告書の書き方
     介護事故 事故報告書の書式について
     介護事故 事故報告書に表れる事業者のレベル







category: 介護事故 事故報告書について

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